第三十五話 巨大獣ダボボズ 男三島の心意気 3
俺と代々木博士の会話を聞いていたコーネリアの父、ベルクシュタイン博士がトンデモない事を言った。
「その骨髄を入れる入れ物がぼくのコーネリアだというなら、どちらもを入れて問題は無いのではないのか? 最終的に正しい物が生成されるなら、材料が違っても不具合は出ないはずだ」
オイオイオイ、実の父親が娘の身体の心配より科学理論の証明か??
まあ言っていることに矛盾は無いが、何というか暴論としかいえない。
「ベルクシュタイン、本当に良いんだな? 儂も責任は取りかねるぞい……」
「大丈夫だ、ぼくがやってくれと言っているのだから……このことで責任を取れとは言わない」
まあこれで娘が死んだ、お前の責任だ! というタイプの人物ではないのが不幸中の幸いというべきか。
「それに、もしこれがダメだった場合は……今度こそぼくがコーネリアをサイボーグにして復活させるだけだ」
ダメだ、この大人……、マッドサイエンティスト以前に人間として倫理が終わっている。
まあ一応は問題は無いと思われるが……。
ダンダルと竹千代はベッドに寝かせられ、麻酔を受けた後に骨髄液を注射器で吸い取られた。
この健康な骨髄液をコーネリアに注入する事で、新鮮な正しい白血球の血液が作られるようになる。
手術は特に問題も無く成功した。
これもダンダルと竹千代の二人がコーネリアに骨髄液を提供してくれたからだろう。
この事で本編におけるベルクシュタイン博士の自殺も避ける事が出来た。
あと数日は安静にしなくてはいけないが、それさえ過ぎればコーネリアの白血病は完治する。
「ヘル、ヨヨギ、そしてヘル、ブキミーダ……心から感謝する。貴方達がいなければコーネリアは完治しなかっただろう」
「ベルクシュタイン博士……」
「恩義は必ず返す、貴方達が困った時、ぼくはコーネリアと共に駆け付ける!」
これも本編とは大きく違った流れだろう。
本編ではコーネリア共々死を選んだベルクシュタイン博士は、娘の命の恩人である俺達の為に出来る事をしてくれると言っている。
彼の技術があれば、ダバール星の人工太陽の修復の技術者が一人増える事になるだろう。
また、あのエルベΩ1の力があれば、ブレイン軍団やデスカンダル皇帝、三島の姿のブキミーダが出てきても十分に戦える。
コーネリアの病状が回復するまでは安静にする必要があるので、ベルクシュタイン博士は北原未来要塞ベースでしばらく滞在する事になった。
というか北原未来要塞ベースも大所帯になって来たもんだな。
……と、悠長な話をしている場合では無い!
俺は代々木博士とケン坊を呼び、話をすることにした。
「ここの入り口、誰も入って来れなくなってるな?」
「問題無い、掃除中の札を表に用意しておいてここはカギを閉めている」
「わかった、それじゃあ本題に入ろう」
俺と、代々木博士、そしてケン坊の中の本物の三島長官は今後の作戦について話し合った。
「どうやら本物のブキミーダはあちこちの基地で自身の持つセキュリティ権限を使いロボットの資源や物資を調達しているようだ。防衛軍も例外ではない」
「何だと! アイツ……ワシのコードそのまま使っているという事か! このままではセキュリティの甘い個所からどんどんアイツに防衛軍の資源や秘密を漏洩されてしまうぞ!」
「ダバール星の秘密基地も問題だ。アイツ、ブレイン軍団、ダバール星、そして防衛軍秘密基地の全部のコードを知っているというべきだろう、特に防衛軍のセキュリティコードはむしろ彼の権限なので、下手すれば隊員達が全員外に出られないようにすることも出来てしまう……」
そう、一刻も早くブキミーダによるセキュリティ破りを止めさせなくては。
「その件で儂は今から荒川長官に連絡する。その際に旧コードが必要になるので、ケン坊……いや、三島長官、そのセキュリティコードを伝えてほしいのです」
「わかった、協力しよう」
急がないと、全部の防衛軍の資源を三島のブキミーダに持ち逃げされてしまう!!




