第三十四話 巨大獣バゾンガ 死者が蘇る怪談話 13
「すごい、すごいわ! ワタシ、鳥になったみたい!」
エルベΩ1を操縦したコーネリアは感動していた。
「コーネリアさん、そのスーツがあれば少しくらいの振動じゃ何ともないですよ」
「タケチヨさん、ありがとう。ワタシ……アイツと戦うわ!」
コーネリアは外部操縦システムを使い、エルベΩ1を操縦した。
「信じられん! 何故だ……サイボーグ化せずにこれだけ動きをそのままリンクさせる事が出来るとは!」
ベルクシュタイン博士は驚いていた。
何故なら彼の理論では外部操縦ではタイムラグがあり、コーネリアがエルベΩ1の操縦をするのに少しの時間差が生まれると分かっていたからだ。
だが、今のエルベΩ1の動きは……まさにコーネリアの意思と機体が一体化したような……まさにベルクシュタイン博士によるコーネリアのサイボーグ化で得られるポテンシャルをそのまま形にしたような敏捷性と操縦性を保っていた。
それは、竹千代が本人も知らずに使った次元連結システムによりコーネリアの脳波とエルベΩ1のシステムが一体化したからだ。
何故このような事になったのか、それは竹千代がコーネリアの脳波を拾う外部操縦システムの無線接続の際に必要な受信機の故障個所を超強化した事で超小型ワームホールが作られたのだ。
この事により、外部接続でも内部接続でもない次元接続になったコーネリアとエルベΩ1はいうならばまさに人馬一体となったのだ!
「出来る! これならワタシのイメージを武器に……行くわよセイレーンボイス!」
エルベΩ1の胸部が開き、中からパラボラアンテナのようなパーツが出てきた。
何と言うか……チクビーム?
だが、それはエロさも不格好さも感じない美しいスタイルだった。
あまりにも威風堂々としたその姿は、胸からの超音波で巨大獣バゾンガを吹き飛ばした。
「すげえ……あの技、ガッダイン5以上かもよ……!」
「龍也さん、超電磁ストームを使ってください!」
「わかった、竹千代! いくぜっ……超電磁……ストォーム!!」
巨大獣バゾンガが灼熱のストームと冷気のストームで空中に舞い上げられた。
だがこんな所で超電磁ストーム、超電磁クロスフィニッシュを使えば燃え残った残骸で寸又峡が山火事になってしまう。
だからガッダイン5は巨大獣にとどめを刺せなかった。
しかし、俺の知っているセイレーンシステムを搭載しているエルベΩ1なら、必殺技で分子分解可能だ。
「今です! コーネリアさん。セイレーンシステムをフルパワーにしてください!」
「え、ええ。わかりました。セイレーンシステム……フルパワー!」
空中に舞い上がったエルベΩ1は空中に固定された巨大獣バゾンガをロックオンし、必殺技体勢に入った。
エルベΩ1の巨大な翼が広げられ、その全身から一気にエネルギーが放たれた!
「いくわよっ……セイレーン・シュルス……リートッ!!」
「こ、これは……歌!?」
「綺麗な声っ」
「あんな必殺技があるなんて……!」
エルベΩ1のセイレーンシステムがフルパワーで放たれ、その歌は絶大なエネルギーとなり、巨大獣バゾンガの全身をヒビまみれにしていった。
「な、何だと!? ガッダイン5と鉄巨人イチナナ以外にあんなロボットが存在したなんて!!」
全身が粉々に砕けたバゾンガは爆発する事無く……光の粒となり寸又峡の空に消えた。
全身を分子分解する音波攻撃……ある意味王者エメラインの禁忌の必殺技――デウス・ボイス――に匹敵する破壊力だ……。
三島長官の姿のアイツは崩れ行く巨大獣バゾンガをその場に残し、ガスタンクマシーンでその場を離脱した。
「覚えていろ、次こそは必ずキサマらを地獄に叩き落としてやる! 地球も、ダバール星も全てメチャクチャにしてやるからな!」
そう捨て台詞を残すと三島長官の姿のアイツはあっという間に姿を消した。




