第三十四話 巨大獣バゾンガ 死者が蘇る怪談話 10
「姉者ぁ~、勘弁してくれーッ」
「ダメなのだ、それを全部食べるまで許さないのだっ!」
あらあらあら、ダンダルはアクラデスの失敗作おにぎりを全部食べさせられる罰ゲームを受けるオチになったようだ。
チョコ、ゼリービーンズ、はっぱえびせん、どれもお菓子単品では美味しいのに、おにぎりに入れると途端にゲテモノになるのは何故だろうか……。
今回はダンダルがやらかした事で、ガッダインチームもミザーリンもだれもダンダルをかばおうとしない。
まあこれが人徳の無さというものだろうか。
ダンダルが失敗おにぎりを食べている横で鮎の塩焼きを食べているのがガッダインチームやミザーリン達だった。
せっかく来たならやはりその土地の料理を食べるのが旅の醍醐味だよな。
ようやく罰ゲームのおにぎりを食べ終わったダンダルが鮎の塩焼きを買おうとした時、残念ながら売り切れの札が出されたところだった。
「そりゃーないぜーッ」
今回は運が悪かったとしか言えないな。
まあその後やけ食いでソバを六杯ほど食べていたので、このダンダルの胃袋はどうなっているのやら……。
「うふふふふっ」
落ち込んでいた千草だったが、ダンダルの滑稽な言動や、周りの光景に少しずつ心が癒されたようだった。
そう考えるとダンダルのバカ行動も今回意味があったと言えるのかな。
だが、そんな空気を一変させたのは……観光客の叫び声だった!
「で、出たー! 60メートルの熊だぁー!!」
「え、そんなの新聞の間違い記事だろ……って、何だアレはっ!?」
寸又峡の奥に姿を見せたのは、60メートル近くある超巨大な熊のような姿だった。
――あれは! まさか、巨大獣!?――
どうやら新聞記事に出てきた60メートルの熊とは、コイツの目撃証言だったようだ。
「アレって、どう見ても巨大獣だよな……」
「我は知らんぞ、あんな巨大獣……作った覚えなどないのだ!」
「わたくしも知らないわ、あんな巨大獣……」
「小生もあんなもの用意した覚えはないぞッ」
そりゃあそうだろう、あの巨大獣は本編でブキミーダが作ったダム破壊用の巨大獣だ。
という事は、アレを用意したのは……間違いなくアイツか!
「ケカカカカカ、この山奥にあるダムを破壊すれば、未曽有の大惨事が起きるのだ!」
「アイツ……三島かよ!」
「ミシマだと、アイツ……この山に住む動物の事をどう思っておるのだ! 許せんのだ!!」
また三島の姿のブキミーダかよ、全く懲りない奴だな。
だがガッダインチームがダインマシンに乗り込もうとした時、遠方から飛んでくる謎のロボットの姿が見えた。
「パパ、ワタシ……頑張るから。命がある限り、戦うわ」
あのロボット、間違いない、あのロボは……エルベΩ1だ!
「ぬ、ガッダイン5では無いな、巨大獣でもない。あのロボットは何だ!?」
「行くわよ、フェザースラッシュ!」
エルベΩ1の背中の翼から小型の羽の形のカッターが撃ち出された。
羽カッターが巨大獣を襲う!
巨大獣バゾンガは上空から現れた謎の巨大ロボットの襲撃を受け、その場に倒れてしまった。
何だ、弱いじゃないか……原作そのまま出ると負けで終わりか。
「ケカカカカカ、ちょっと油断してしまったようだが、改造されたバゾンガの力はそんなものでは無いぞ! 見るがいい」
何だと? 倒れたはずの巨大獣バゾンガが起き上がり、身体を丸めながらエルベΩ1に襲い掛かった。
「キャアッ!」
身体を丸めて高速で体当たりした巨大獣バゾンガは空中を飛んでいたエルベΩ1を地上に叩き落とした。
「そ、そんな……」
何故だ、巨大獣バゾンガの強さがまるで別物だ。
「誰かは知らんが、どうやらこのバゾンガの性能を見くびっておるようだな。ワシが改造した巨大獣、その力を見るがいい!」
その時、ダインマシンが寸又峡の夢のつり橋の近くに合体した姿で到着した。




