第三十四話 巨大獣バゾンガ 死者が蘇る怪談話 6
「えっと……ひき肉、煮干し、たくあん、塩辛、ジャム、大福……それに健康にいいと聞いたチュウカとやらのセミの抜け殻……」
オイオイオイオイ、このアホは一体何を作っているんだ?
ダンダルは明日みんなで紅葉狩りに行くと聞いて、弁当を自ら作るためにおタケさんにある材料を色々と用意してもらった。
何やら紫色のドローリとした物体が鍋の中にある……。
「ダ、ダンダル……お前はいったい何を作っておるのだ?」
「おお、姉者、見てくれッ。小生の自慢料理だッ」
コレ……料理といって良いのか?
劇物、毒物……以前オレとマーヤちゃんが作った笑いエキスの濃縮液よりもヤバい物体なんだが……。
「それ、お前一人で食べるのか?」
「そうよ、これは小生の地球人に貰った材料で作った物。つまりみんなの物は小生の物、小生の物は小生の物、というわけだッ」
アクラデスが何とも言えない変顔で呆れている。
「そ、そうか。それでは頑張るのだ。我はこっちでおにぎりとサンドイッチを作っているのだ」
アクラデス、千草、ミザーリン、マーヤちゃん、それにアチャコ。
五人の女の子達は明日の紅葉狩りに持って行くお弁当の準備をしているところだった。
「のう千草、このおにぎりって具は何でもいいのだか?」
「そうねっ、好きな物を入れていいと思うわっ。私、納豆とかは流石にちょっと嫌だけどっ……」
「そうか、好きな物を入れていいのだな。それじゃあおにぎりの中にチョコレートとゼリービーンズとポテトチップとはっぱえびせんを入れるのだ」
オイオイオイオイ、ダンダルの事を言えないこのゲテモノおにぎりは一体何だ!?
俺やっぱり行かないと言ってて正解だわ。
それに今から向かう寸又峡、ここには巨大獣バゾンガが出現する可能性がある。
何故なら本来の三十四話での巨大獣バゾンガはブキミーダが用意し、山奥のダムを破壊して水没させる為の作戦を実行する予定だった。
しかも、このバゾンガ、ブキミーダが元々用意した物らしく、本編でも出所が分からない……。
つまりどこから現れてもおかしくないのだ。
ここでついでに巨大獣図鑑の補足……。
――巨大獣バゾンガ――
全長60メートル、重量1500トン
クマか何かの猛獣を元にしたようなデザインの巨大獣で、爪で敵を切り裂く。
またゴロゴロと転がる事で背中のたてがみの部分がカッターになっていてそれで攻撃をする。
データとしてはこの程度だ。
まあ出た瞬間エルベΩ1に瞬殺された程度の巨大獣だが、油断は禁物だ。
だから俺は自宅警備員や引き籠りでは無いが、機動要塞ドグローンで様子を見た方が良さそうなのだ。
なお、トニーとタイタン部隊は、紅葉狩りよりも草野球をやってる方が楽しいからパス。
エリザとスタンリーは冬のコミックフェスティバルに新刊を出す為に今部屋に缶詰中。
なお、エリザは王者エメラインの新作や天空のイカロスのR18、スタンリーは国際救助隊ファイヤーバードやキャプテン・ニュートンといった海外SFや宇宙軍艦ミカサの本格SF系同人誌を作っているようだ……。
――確か、このキャプテン・ニュートン、印象に残っている話が有るんだよな……カルシウムが足りなくて囚人の一人が命を懸けてエンジン点火用の触媒になる為に犠牲になる話……。――
子供の頃アニメで見たこのキャプテン・ニュートンのカルシウムが無いのシーン……やたらと印象に残っていたんだよな……。
おっと、また脱線してしまった。
そんなこんなでガッダインチームの男達は明日の準備、女の子達は料理を用意していたらしい。
代々木博士は誰かと電話しているようだ。
「ベルクシュタイン、それは絶対にやめるのじゃぞい! もしそれを本当にしようというなら儂はお前を軽蔑するからな!!」
どうやらこの間の熱海に来ていた科学者の一人と電話で言い争いをしているようだ……。




