第三十四話 巨大獣バゾンガ 死者が蘇る怪談話 5
実は俺が懸念していることが一つある。
それは……アクラデスと竹千代の関係だ。
原作では可愛らしいショタ枠(当時はまだショタの語源になった太陽の使者アイアン28号は放送されていないが……)扱いだった竹千代だが、何気にガールフレンドの出来る話はあったわけで、本来のコメディリリーフとしてのアチャコ、そしてこの怪談話のコーネリアが彼のガールフレンドになったわけだ。
だが、今のこの時間枠、それに加えさらにフジ子・ヘミングウェイにアクラデスまでもが彼に好意を持っている。
――コレって下手すれば彼を巡った修羅場が起きてもおかしくない話では無いのか!?
しかも……アチャコを除けば、フジ子、コーネリア、アクラデス……全員巨大ロボを何らかの形で使えるのばっかりだ!!
頼むから巨大サイズのロボット同士の痴話喧嘩みたいな展開はマジで止めてくれ……。
普段は瓶底グルグル眼鏡の竹千代だが、眼鏡を取るとかなりの美少年で、意外に本放送当時も隠れファンがいたのが彼だ。
だから作中でも彼に好意を持つ同年代かもう少し年上の女性がいても特に不自然な流れではない。
さて、この竹千代のガールフレンド問題、一体どうなるのやら……。
――次の日、俺がスパイドローンで北原未来要塞ベースの様子を見ていると、代々木博士は原作と同じ流れで千草をみんなで励まして欲しいと言って全員に紅葉狩りを勧めた。
まあ奇岩島基地に置いてけぼりのエリーザ様には可哀そうだが、今回はアクラデスとダンダル、それにミザーリンも参加だ。
今は下手にエリーザ様に動かれても困る。
何故ならシャールケンはまだ死亡したと決まったわけでは無いので、下手すればタイミング的に誰もいない奇岩島基地に戻ってくる可能性があるから誰か基地に居ないと困るのだ。
それにあの三島長官の姿のブキミーダ、アイツが宇宙船強奪の為に奇岩島基地にやってくる可能性も十分考えられる。
そう想定すると、下手に奇岩島基地を責任者不在にしておくわけにもいかないのだ。
まあ可哀そうで仕方ないので平和になったら龍也と二人だけで紅葉狩りに行けるようにしてやるのもアリかもな……。
もしこの世界が俺の思ってる通りの話の流れの世界なら、紅葉狩りに行ったガッダインチームはベルクシュタイン博士の娘であるコーネリアと出会うはずだ。
そうなると、原作にも出てきた巨大ロボットエルベΩ1が登場する流れも変わらないだろう。
さて、ガッダイン5大百科の巨大獣図鑑(巨大獣扱い?)によると……。
――エルベΩ1――
全長54メートル、重量777トン
西ガリア連邦の天才科学者アルバート・ゼル・ベルクシュタイン博士の作った地球製巨大ロボット。
ガッダイン5に匹敵するパワーを持ち、翼で空を飛ぶ事も可能。
セイレーンシステムを搭載していない状態でも巨大獣相手に戦い、打ち倒す事が出来る。
寸又峡渓谷に出現した巨大獣バゾンガをあっという間に倒し、その強さを証明した。
その後、溺死したコーネリアを再生させたサイボーグ少女セイレーンを生体パーツとして組み込む事で完全体となり、音波攻撃で敵を翻弄する。
この音波攻撃がコーネリアの歌と同じだと確信した竹千代は、その発生源であるエルベΩ1の喉を狙う事を龍也に伝え、龍也はマグネティックランサーでエルベΩ1の喉を切り裂く。
音波攻撃の使えなくなったエルベΩ1は空から攻撃しようとするが超電磁ワイヤーに絡め取られて空中に投げられ、超電磁ウェーブを受けた後、超電磁スマッシュで倒された。
その後、その渓谷では紅葉の季節になると……誰もいない山中に綺麗な少女の歌声が聞こえるという怪談話が伝えられるようになった……。
――うん、とりあえず……子供には怖いよね、こういう怪談話。




