第三十四話 巨大獣バゾンガ 死者が蘇る怪談話 4
ハインリッヒだとマジンガーZの元ネタそのまますぎるので、天才博士の名前をベルクシュタインに変更しました。
この三十四話のサブタイトル、本当なら夏のシーズンに入れようとしたものが、納品が間に合わずに秋になってしまったというトホホな裏話がある。
だから本来なら入るはずだった話は、あの水着回十五話の後に入る予定だった話だ。
まあ俺の居た時代ならハロウィンが一般的になっているので秋の中頃にこんな話が有ってもおかしくは無いが、本放送当時はそんな制作の裏事情を知らない子供には何故いきなり怪談話の回が始まったのかは不思議だった。
――その本来の三十四話の話はこんな話だ。
どうにか千草を助け出したガッダインチームだったが、ガッダイン5は度重なる戦闘でメンテが必要だった。
代々木博士は出生の秘密を知って落ち込む千草を慰める為、ガッダインチームの全員に紅葉を見に行くのを勧めた。
ガッダインチームは千草を連れ、全員で紅葉を眺めていたが……そこで不思議な少女に出会う事になる。
彼女に心を奪われてしまったのは竹千代だった。
綺麗な歌声、そして可愛らしい姿に竹千代はつい……彼女に声をかけてしまう。
だがそんな竹千代を彼女は快く受け入れた。
彼女の名前はコーネリア。
科学者の父親と日本を観光に来ていたそうだ。
そして再び会おうと約束した竹千代とコーネリアだったが、その約束は叶う事は無かった。
彼女は高い崖の上で歌を歌っていた際に突風にあおられ、そのまま転落して溺死してしまったのだ。
彼女の父親だったベルクシュタイン博士はコーネリアの亡骸を引き取ると、姿を消した。
彼女の事がどうしても忘れられない竹千代、そんな彼に彼女の歌声が聞こえた……。
その歌に引き寄せられるようにダインビークルを使い無断で出撃した竹千代の前に姿を見せたのは、死んだはずのコーネリアだった。
彼女は笑いながら竹千代を呼び寄せる。
そこに駆け付けたのは何だか竹千代の様子がおかしいと思っていたガッダインチームのメンバーだった。
そこでコーネリアは本当の姿を見せ、ガッダインチームのメカを音波で操りおかしくする。
なんと彼女は死んだコーネリアを元に作り上げられたサイボーグ、セイレーンだったのだ。
そう、セイレーンは科学の魅力に取りつかれた科学者ベルクシュタイン博士が自らの娘を素体に作り上げたサイボーグ少女だったのだ。
そしてベルクシュタイン博士は自身が世界で一番優れた科学者だと証明する為にエルベΩ1を呼び出し、セイレーンをその生体パーツとして組み込んだ。
仲間のおかげで正気を取り戻した竹千代は、ガッダイン5に合体し、エルベΩ1と戦う事になる。
歌を兵器にしてガッダイン5を苦しめたエルベΩ1だったが、マグネティックランサーを投げつけられ、音波発生装置を破壊された後は特に出来る攻撃も無く、超電磁ウェーブを喰らい、超電磁スマッシュでとどめを刺された。
――まあツッコミどころとしては、後半なのに何故前半の必殺技でトドメを刺されているか、といったところだろうが……これが納品ミスからの放送順序のずれ込みだとすればまあ仕方が無い話だろう。
そして巻き添えにされた巨大獣バゾンガが空気過ぎた事か……。
だから苦肉の策か、この話にはダバール星人の姿は一切出て来ず、あくまでも地球人同士の戦いという事になっている。
本来はあのテレビ電話サミットで出てくるはずだった西ガリア連邦の博士はこのアルバート・ゼル・ベルクシュタイン博士になるはずだったのだが、そういった事情から……納品が間に合わないとなって、急遽取られたのが特撮作品だった鉄巨人イチナナとのコラボ話だったというわけだ。
そして放送後納品された――巨大獣バゾンガ 死者が蘇る怪談話――はお蔵入りする可能性もあったが、千草の出生の秘密を知った事でのショックを和らげる話にするという意味で、秋のシーンの新規部分を作って三十四話として放送したというわけだ。
だから戦闘シーンの背景をあえて山岳や空中戦メインにしたのは夏の光景が映らないようにする為なのだろう。




