第三十三話 巨大獣オゾルゲ 拷問される千草 9
敵の敵は味方、という言葉があるが……今はそれに当てはまらない。
むしろ――勝った方が我々の敵になるだけです――と言った方が正しいだろう。
三島長官の姿のアイツと、ウルフ博士が仲違いだ。
アイツはガスタンクマシーンに乗り、そしてウルフ博士は遠隔操作でビッグクローマシーンを使いお互いを攻撃しようとしている。
巨大獣オゾルゲは残念ながらビッグクローマシーンのロケットクローを喰らい、大ダメージだ。
ありがとうオゾルゲ、君の犠牲は無駄にはしない。
巨大獣オゾルゲが爆発し、現在ここに残っているのが、ガッダイン5、ビッグクローマシーン、ガスタンクマシーンの三体になった。
「へっ! ガッダイン5であんな奴どっちもぶっとばしてやる! よくも千草をこんなに苦しめてくれたな! このお礼は絶対にしてやるからな!」
「クソッ! こうなったら……撤退だ!」
「コラ待て逃げんなっ!」
ガスタンクマシーンはガッダイン5から離れ、上空高くに逃げてしまった。
「クソッ! 逃げ足だけは早いヤツめ!!」
「ミシマー、絶対に許さないデース! 今までかかった破壊ロボットの費用請求してやりたいデース!!」
ウルフ博士が変な怒り方をしている……。
まあ気持ちはわからんでは無いけどね、協力者だと思ってた相手に色々と提供した挙句に後ろ足で砂をかけられたらそりゃあどんな奴でも怒るわな。
「マアいい。チグサを捕らえた時のコレはワタシのモノだ! ミシマめ、せいぜい悔しがるがイイ」
――この時のウルフ博士の台詞が、後々大きく影響するとは俺を含め、誰もこの時は気が付いてなかった!――
「アー、あまりにも腹が立ったので、お前達血祭りにシテうっぷん晴らしデース!」
「へっ! 返り討ちにしてやるぜ、ヘンテコ外人」
「誰がヘンテコ外人ジャー! ブッコロコロス!!」
――いや、アンタどう見てもどの作品でもまごう事無く、面白悪役外人枠でしたから……――
まあウルフ博士の遠隔操作するビッグクローマシーンとガッダイン5の対決が始まった。
ガッダイン5はビッグクローを両手持ちモードの双剣状態のマグネティックランサーで受け止め、その直後合体して伸ばしたマグネティックランサーで突き刺した上で佐山貯水池に叩き込んだ。
すまない、関東近辺の皆様、これで数日は断水が続くかもしれないが今は仕方ないのだ。
って何で俺の語尾が、のだ、になっているのだ!?
「タツヤ、アイツは我が倒すのだ! 今回のミスは我が迂闊にもアイツらのビルに入ってしまったのが原因なのだ。だから……我のけじめは我がつけるのだ!」
「アクラデスさん、わかりました。僕も協力します!」
「タケチヨ、ありがとうなのだ」
この二人、本当に良いコンビになりそうだな。
「おい、来るぞ! アイツ、爪を飛ばして攻撃してきたぜ」
「お前に言われなくても見えているのだ!!」
だがやっぱり流とはどうも相性が悪いみたいだな。
ガッダイン5はロケットクローを弾き、戻ってきたビッグクローマシーンに突き刺さった。
「今です! アクラデスさん。アイツの弱点がわかりました」
「本当か! ではすぐに攻撃するのだ!」
「あのロボット、爪が無ければ特に他の武器は無さそうです。つまり……あの爪さえ潰せばアイツは何もできなくなるのです!」
実際そうだった。
あのビッグクローマシーン、本編でも圧倒的な力で鉄巨人イチナナを攻撃していたが、エネルギー増幅炉で動けるようになったイチナナに両腕のビッグクローを捕まえられ、投げ返されて突き刺さるとその後は特に反撃も出来ずグラビトン・ブラストで破壊されていた。
「わかったのだ、タケチヨ。我に操縦させてほしいのだ、アイツは我が倒す!」
「良いぜ、アクラデスさん。千草をこんなにしたアイツら、アンタがやっつけてくれ!」
「わかったのだ、タツヤ!」
ビッグクローマシーンは大爪のロケットクローを再び飛ばしてきたが、ガッダイン5はそれを超電磁ワイヤーで捉え、ビッグクローマシーンに投げ返した。
「どうだ、こうやってグルグル巻きにしてしまえば、あの爪を自由に飛ばす事も出来ないのだ!」
「な、何という事デスかー!」
「これでも喰らうのだ!! 超電磁ストーム!!」
超電磁ストームがビッグクローマシーンを捉えた。
「トドメはコレなのだ! 超電磁……クロスフィニッシュなのだぁぁー!」
超電磁クロスフィニッシュを喰らったビッグクローマシーンは狭山貯水池上空に舞い上げられ、大爆発を起こした。




