第三十三話 巨大獣オゾルゲ 拷問される千草 6
少し休んだアクラデスが医務室から戻ってきた。
まだ体調は万全とは言えないが、彼女はダインクルーザーに乗れるようになり、合体もやりこなした。
「早く……急ぐのだ! そうでないとチグサが……」
「アクラデスさん、焦ってはダメです。みんなで足並みを揃えましょう」
「わかったのだ、タケチヨ」
どうやらアクラデスはガッダインチームでも竹千代とウマが合うようだ。
「アクラデスさんよ、あまり無理はするなよ。おれ達がフォローするからよ」
「余計なお世話なのだ、我はそこまで足手まといにはならないのだ!」
うーむ、流とはあまりウマが合わないようだな……。
「みんな、千草さんを助けるんだ。早くしないとアイツに拷問をされる」
「わかったぜ、ブキミーダさん」
「ワシらも巨大獣オゾルゲを出す、目指すは佐山貯水池だ!」
ガッダインチームは出撃準備に入り、指令室からそれぞれの椅子に座った。
椅子が自動的に動き、スライドや回転、昇降の末、全員がダインマシンに乗り込んだ。
そしてダインマシンが北原未来要塞ベースから発進した。
どうもまだこの基地が大型宇宙船マグネコンドルとして飛ぶには時間がかかるようだな。
「マーヤ、機動要塞ドグローン発進だ!」
「了解です、ご主人様」
トニーのタイタン部隊とエリザ、スタンリーのカップルと第一遊撃隊、ダンダル軍務卿達は全員待機状態だ。
スパイ活動の得意なミザーリン単独ならまだしも、下手に大勢で行ってもあの佐山貯水池では役に立たない上、巨大獣が無ければ戦力にもならない。
俺達は多摩湖に機動要塞ドグローンを着水させ、そこから巨大獣オゾルゲを出撃させた。
オゾルゲは今のところ待機状態だ。
そしてミザーリンが佐山貯水池にある給水塔を調べ、ウルフ博士の隠れ基地の場所を見つけ出した。
その時、給水塔のスピーカーからアイツの声が聞こえてきた!
「ガッダインチーム及び、ダバール星人に告げる。のこのこここにやって来たようだが、遅かったな。もう秘密は調べ上げた。この娘はデスカンダル皇帝への手土産としていただく!」
「三島長官! アンタ、ついに地球人すら裏切るのかよ!」
「フン、ワシには関係ない。キサマらにワシの気持ちなぞ分かるワケがあるまい!」
まあ分からないし分かりたいとも思えない。
ブキミーダは作中で過去どのようなキャラだったのかまでは触れられてはいない。
ただ性格が悪く、他者を踏みにじるキャラで強い者に媚び、弱い者に当たり散らす性格だという事だけは確実だった。
これは後天的にそのような性格になったというよりは、先天的に生まれ持った性格、気質がそのような人物だったのだろう……。
だから何でも他人が悪い、自分自身が被害者だという思考になる。
「お前だけが被害者だと思うな! お前は何かその地位で努力したと言い切れる何かがあるのか!」
ハッキリ言ってこの姿でコレを言うのはかなり矛盾していると言える。
本来三島長官は第二次世界大戦の特攻隊生き残りで誰よりも努力、精進を重ねてきた人物だ。
だが今その中に入っているブキミーダは、生まれながらの貴族の地位に固執し、またせっかく生まれ持った天才的頭脳を他者の為に使おうという考えを持たなかった憐れな人物だ……。
俺はつい、親の地位で仕事のポジションが約束されていると思い込んでいた前世の仕事の後輩亀木を思い出し、思わず怒鳴ってしまった。
「何だと何だと何だと……キサマ、ワシの身体を使って好き放題にしよってからに……おかげでせっかくの作戦が全て台無しだ! キサマ、一体何者なんだ!? 何故ワシの計画を先読みするように邪魔できるのだ??」
まああの三島長官の中のブキミーダにすれば、自分の身体を使った何者かが自身の考えた地球とダバール星をメチャクチャにする作戦を尽く潰されれば、流石に脅威に感じるかもしれないな……。
「オー、ミスターミシマ、どういうことデスか!? ワタシ、そんな話聞いてまセーン!」
「フン、わざわざ貴様にいう必要がどこにあるというのだ?」
何だ何だ、三島の姿のブキミーダとウルフ博士が仲違いか?




