第三十三話 巨大獣オゾルゲ 拷問される千草 3
本編ではアクラデスはガッダイン5に合体出来なかった。
何故なら彼女が千草と入れ替わっていると見抜いたのは竹千代だったが、彼はガッダイン5の合体練習での彼女の動きの遅れに不自然さを感じたのだ。
その後結局基地から脱出したので、本編中でのアクラデスは一度もガッダイン5に合体成功出来た事が無い。
――だが今はそんな事を言っていられないのだ。
三島長官のケン坊は確かに乗りこなす事は可能かもしれない、だが前回は特注のガッダインチーム用のパイロットスーツ無しで乗ったので身体に相当のGがかかり、このままスーツ無しに乗れば確実に全身の骨がバラバラになってしまう。
そんな危険を冒してまでケン坊の姿の三島長官にガッダイン5に乗せる事は出来ないのだ。
また、もしケン坊をメインパイロットにするとしても特注衝撃吸収スーツ制作までに時間がかかり、その間に千草の命が危ない!
そう考えると、千草とほぼ同じスタイルで彼女の予備スーツが使えるアクラデス以外にガッダイン5のダインクルーザーのパイロットを出来るのはいないのだ。
ミザーリンなら操縦技術や背格好的には可能かもしれないが、残念ながらスーツの胸が入らない……。
そういう冗談を言ってられる状態でもないので、何が何でもアクラデスにガッダイン5のダインクルーザーを乗りこなして合体成功させてもらわないと困るのだ。
マジで困った困った……。
だからといって俺も何もせずにここに居るわけにもいかない。
確か……前回ここには巨大獣ボルゴガを平和協定で預けていたはず。
アレを使えばどうにか戦えるか!
「代々木博士、実は頼みがあるのですがいいですかな?」
「おおブキミーダさん、頼みとは何ですぞい?」
「以前平和協定でそちらにお渡しした巨大獣ボルゴガ、返してはもらえませんか?」
だが代々木博士は困った顔をしていた。
「うーむ、返せるなら返しても良いんですが……アレはダバール星の技術研究用に解体して資源、素材になってしまっておるのですぞい」
カーン、カーン、カーン……。
――つまり、巨大獣ボルゴガは無事だったが解体して素材化してしまっているのか―!?
仕方ない、ここは突貫で巨大獣を作るしかないようだな。
不幸中の幸いと言えるのが、俺があのデザインと性能を覚えていて、尚更に素材が揃っている事か……。
さて、ガッダイン5大百科の巨大獣図鑑によると……。
――巨大獣オゾルゲ――
全長58メートル、重量1400トン
ブキミーダの作った巨大獣で長い腕を持つ類人猿に近い形の巨大獣。
鋭い爪で相手を切り裂き、長い手を使いながらトリッキーな動きを得意とする。
グローン円盤や岩肌、機動要塞ドグローン等を使い、縦横無尽に動き回ってガッダイン5を追い詰めたが、三島長官の乗るダインクルーザーの部分を弱点だと見て突っ込んできた所にビッグミサイルスパイラルを喰らい、腕が使い物にならなくなる。
狼狽えていた所を超電磁ストームを喰らい、超電磁クロスフィニッシュでとどめを刺されて爆発した。
――とりあえずこの岩肌を使い移動というのが佐山貯水池近辺の森林や山岳の多い奥多摩地域では使えるかもしれない。
俺は代々木博士にロボット格納庫の一部を借り、巨大獣オゾルゲを制作した。
「よし、これで佐山貯水池のウルフ博士とアイツの居る場所に突入できるぞ!」
「もし、すまんが……ブキミーダさん、少し時間を貰えますかな?」
「はい、少しなら大丈夫ですが」
俺は代々木博士にロボット格納庫の個室に呼ばれ、質問をされた。
「儂は前回貴方に色々とお話を聞いたのであの三島長官の中に別人が入っている事までは理解できたですぞい。ですが今聞きたいのはその先の話です。貴方はあの三島長官の中に入っている本物のブキミーダについてどこまで知っておるのですか?」
これはかなり核心を突いた質問が出て来たものだ。
さあ、どう代々木博士に回答するべきか……。




