第三十三話 巨大獣オゾルゲ 拷問される千草 2
この話で千草がダバール星人のハーフだと敵味方全員に知られる事になる。
その事で少し戸惑うガッダインチームだったが、そんな中で全員に喝を入れたのは三島長官だった。
――お前達は今まで一緒に戦った仲間の事を信じられないのか!? 血が違う、肌が違うだけでお前達は今までの仲間を敵だと思うのか!――
これは実際に彼が第二次世界大戦で従軍していた時の捕虜に対する対応だというのは回想で流れた戦争シーンに映っていた。
――この話の演出をしたのが軍事演出に定評のある装甲鉄機メタルズの高畑修輔なので第二大戦時のミリタリー表現は流石と言う位のむせる様な泥臭さだった。
三島長官の問いかけに最初に応えたのがキレーダに好意を持ちつつも、彼女を救えなかった玄太郎だった。
そして、トニーと友情を築きながらも彼を助けられなかった流、そしてエリーザを守れなかった龍也がそれぞれ三島長官の言葉に激励され、千草を守る決意を固めた。
三島長官の乗るダインクルーザーに収容された千草は後部の空きスペースに横に寝させられ、三島長官は彼女を守りながら戦う。
そして千草を追いかけて来た巨大獣オゾルゲをガッダインチームは協力して撃退した。
千草を助け出したガッダインチームは北原未来要塞ベースに帰還、千草をすぐに医療室に搬送し、彼女の容態を見守った。
どうにか峠を越した千草は、自分のせいでガッダインチームを危険な目にあわせた事を謝る。
だがガッダインチームはそんな彼女を温かく迎え入れた。
親友の光太郎ことハリール王子の言っていた事が本当だったと確信した代々木博士は、彼の遺志を継ぎ、この戦いがダバール星を救う事でもある事を知る。
そして代々木博士は北原要塞ベースを大型宇宙船マグネコンドルとして飛ばす為の最終テストを行うと全員に伝えた。
――まあこの話で全員が千草がダバール星人、それも皇帝の兄のハリール王子の血を継いだ王位継承権を持つハーフだと知る事になる。
ここから話がロマン路線の長富監督らしい壮大なスペースオペラになるわけだ。
地球で防衛するだけだったロボアニメが、まさかの敵の本拠地である宇宙の彼方にあるダバール星に行き、皇帝の圧政を止めて星を救う流れになるわけだから。
この次の話は今後の展開に直接かかわる話ではないが、それ以降はガッダイン5もクライマックスの最終クールに入り、最終決戦に向けての話になっていく。
今のこの時間軸では、本編の最終決戦とは大きく異なる点が多いが、それはむしろ良い方向に異なる事が増えた。
・まず、地球人とダバール星人の最初の禍根となるはずの北原みどりの生存。
・そして死ぬはずだったシャールケン提督の妹エリーザ様の生存。
・北原未来要塞ベース侵攻時に巻き添えで死ぬはずだったケン坊の生存。
・本編中で戦死するはずだったバルガルの部下戦士ボボンガの生存。
・本編で過労死するはずだったレイザム技術主任の生存(人工太陽修復が可能になる)
・ブキミーダの娘、キレーダの生存。
・ミザーリンの弟、トニーと特殊部隊タイタンの生存。
・絵描きカップルだった戦士エリザと恋人スタンリーの生存(変な方向に進んだが)
このようにダバール星人と地球人、どちらも本編中での大量の死者がこの時間軸では誰一人として死亡していないのだ。
だから何が何でも新たな犠牲者を出すわけにはいかない。
何が何でも北原千草を助け出さなくては。
そしてここにガッダインチームとダバール星人の連合軍が出来た。
目的は、ブレイン軍団のウルフ博士と三島長官の姿をしたアイツから北原千草を助け出す事だ。
「じゃがこのままではガッダイン5が出せんぞい。残念じゃがケン坊君ではダインクルーザーの性能に耐えきれなそうなんじゃ。これ以上無理したら身体の方がバラバラになってしまうぞい」
「くっ……。それじゃあ……」
そこでアクラデスが声を上げた。
「我に乗させてほしいのだ! チグサは我が……助け出すのだ!」




