第三十三話 巨大獣オゾルゲ 拷問される千草 1
――狭山貯水池――
関東の埼玉県にある多摩湖、東京の水瓶とも言える場所だ。
昔から特撮等のロケ地としてよく使われた場所で、鉄巨人イチナナでもウルフ博士の隠れアジトとして使われていた。
もし三島長官の姿をしたアイツが今居るとすれば間違いなくここだ。
ウルフ博士と三島長官の姿をしたアイツは巨大頭脳ブレイン総統に素直に従っているとは思えない。
そうなるとブレイン総統の居た秩父にわざわざ戻るとも思えない。
だから消去法で考えるとアイツらの居るのは狭山貯水池という事になるのだ。
「サヤマチョスイチ……そこにチグサがいるのだな!」
「ま、まあ確実とは言い切れませんが、可能性は高いかと……」
「わかった、我の責任だ……チグサは我が助け出すのだ」
アクラデスは千草が攫われたのは自分の責任だと感じている。
それを見たガッダインチームは誰も彼女を責めようとはしていなかった。
「みんな、そう落ち込む事でもないぞい。千草君の居る場所が分かっているならガッダイン5のエネルギーを回復させればそこに向かえるのじゃろう」
「代々木博士、早く頼むぜ! 千草を助けてやらないと……!」
確かに龍也の言う通りだ、早く彼女を助け出さなくては……本編のように拷問されてしまう可能性が高い。
ガッダイン5の本編でブキミーダが一番視聴者に嫌われた理由がこの三十三話だ。
何とアイツは……千草をベッドに縛り付け、彼女に拷問を行ってガッダイン5の秘密を聞きだそうとした。
本編三十三話はこんな話だった。
――千草を攫ったダバール星人は奇岩島基地で千草を拷問した。
それはガッダイン5の秘密を聞きだす為の事だった。
だがあまりに激しい拷問に流石にバルガル将軍が止めようとする。
――下手に拷問を続ければ死んでしまう。そうなると人質として使えないではないか!――
彼はそう言って千草の拷問を止めさせた。
だがその事でダンダル軍務卿とバルガル将軍が対立、アクラデスはこの二人を対決させる事で勝った方の言う事に従えと命令を出す。
バルガル将軍は巨大獣バルバルで、一方のダンダルは巨大獣オゾルゲをブキミーダに作らせ、特設コロシアムで二体の巨大獣が対決をした。
激戦の末、勝利したのはバルガル将軍だった。
バルガル将軍は捕虜を人道的に扱えと命令をしたが、それを素直に聞かなかったのがブキミーダだ。
そしてブキミーダは千草のデータを調べているうちに、彼女のアクラデスとの多すぎる類似点に違和感を感じる。
ブキミーダの解析の結果たどり着いた結論は、千草とアクラデスはほぼ同じ遺伝子配列を持った姉妹か親戚のようなモノだという結論だった。
だがどう考えても地球人のはずの千草がダバール星人であるわけが無いと考えたブキミーダだったが、彼がダバール星の秘密警察署長だった時に星から脱出したハリール王子の事を思い出した。
そう、ブキミーダは北原千草がハリールと地球人の間に生まれたハーフだという結論に辿り着いてしまったのだ!
嬉々としたブキミーダはマーヤに拷問をした千草の世話を命令し、自らはデスカンダル皇帝に千草がハリール王子の娘だと伝える。
この事を知ったデスカンダル皇帝は千草を自らの妻にする事で名実ともにダバール星の王位は自身の物だと全ての大衆に伝える事にした。
だが、マーヤの一瞬の隙をつき、千草はボロボロの身体でどうにか奇岩島基地からグローン円盤を奪い、脱出した。
一方、以前奇岩島基地から脱出した三島長官におおよその場所を聞いたガッダインチームは彼と一緒にガッダイン5で奇岩島基地を目指す。
その途中、敵に追われたグローン円盤を見つけたガッダインチームはそれが脱出してきた千草だとすぐにわかったので、彼女をダインクルーザーに収容、その後北原未来要塞ベースに帰還しようとしたが追いかけて来た巨大獣オゾルゲに攻撃を受け、戦う事になってしまう。
その戦いの最中、ダバール星人達の拾った通信でガッダインチームは千草がダバール星人とのハーフだと知る事になる。




