第三十二話 巨大獣ゴマゴガ 狙われた千草! 6
「ブキミーダよ、お前は地球人の味方なのか? ダバール星人の裏切者なのか??」
まあそう取られてもおかしくはないよな。
普通敵対勢力と戦争を終わらせようというのがいた場合、裏切者と取られても仕方が無い。
「いえいえ、ワシは単に地球人とこれ以上争っても何の得にもならないと言いたいのです。ダバール星の人工太陽の爆発までもう時間がありません」
「だからこそ地球を侵略し、ダバール星人が全て移住できるように下準備するのが我等の目的ではないか、お前は目的がぶれておるのだ」
そう言われると反論が難しい。
だが、俺にはきちんとした根拠がある。
それは、この人工太陽、今の状況なら修理が可能だからだ。
本編の何話か忘れたが、最終回近くで誰かの言っていた台詞に――もし、レイザム主任が居てくれたら、この人工太陽を修復できたかもしれないのに……――と言うものがあった。
だが今はあのアホな展開とはいえ、食中毒で病院に担ぎ込まれた為にレイザムは過労死では無く生き残る事が出来た。
だから超弾性金属ミラニウムとマルスニウムを使えば、ダバール星の人工太陽を修復する事が可能なのだ!
つまり、人工太陽が修復できれば……ダバール星は外部に移住先を求める必要が無くなる、そうなると地球への侵攻をする必要が無くなるのだ。
だがあのデスカンダル皇帝はもし地球への侵攻理由としての移住の必要が無くなっても地球征服を止めようとはしないだろう。
アイツは本編の最終回近くで本音として言っていたが、――ダバール星が滅びようがどうしようが知った事ではない、宇宙を我の物とするのだ!――と言っていた。
つまり、デスカンダル皇帝にとっては地球も宇宙もダバール星も関係なく、全てを自分自身の物にしたいだけなのだ。
「ブキミーダ、聞いておるか? 聞いていたら返事をするのだ!」
「は、はい。アクラデス様……。ワシは目標がぶれてなぞおりません、ダバール星数億の民が安全に暮らせる場所を確保する事、その為には地球人と敵対するのは止した方が良いと言いたいのです。また、この星には地球防衛軍以外にもブレイン軍団という地球の巨大コンピューターが支配する連中がいて、それは外敵をすべて排除しようとしているのです」
俺はブレイン軍団をダシに、地球防衛軍やガッダイン5と敵対するのを今は一時的にでも止めた方が良いと説得する作戦に変更した。
「ふむ、確かに敵が多いのは良くないのだ。そう考えると今はブレイン軍団とやらと組むよりは地球防衛軍と休戦した方が良さそうなのだ」
アクラデスはどうやら俺の説得を聞いてくれたようだ。
「だが本当に地球人が和平を結ぶに値する連中かどうか、我が見極める、ブキミーダよ、ダンダルを連れて行くので巨大獣を用意しつつ日本に向かう準備を進めるのだ」
「了解しました、アクラデス様」
どうにかこれで話が進みそうだ。
だが念の為の戦力を連れて行くのはまあ有りといえば有りなのか。
俺は巨大獣ゴマゴガの最終調整を任された。
さて、この巨大獣ゴマゴガ、ガッダイン5大百科の巨大獣図鑑によると……。
――巨大獣ゴマゴガ――
全長50メートル、重量1270トン
両肩に巨大なコマのようなパーツのついた巨大獣で、伸びる鞭状の手を持っている。
敵に向かい二つのコマを投げて攻撃する巨大獣で自身も回転して攻撃可能。
ダンダル軍務卿によって新橋に出現後街をメチャクチャに破壊する。
ガッダイン5に向かい巨大なコマを投げて攻撃し、鞭状の手でガッダイン5自体もコマのように高速回転させられて投げられるが、そのまま高速回転を利用した超電磁スマッシュで腕の鞭を切り裂かれ、その後は回るコマをガッダイン5に跳ね返されて全身に突き刺さったまま爆発した。
――何と言うか、コマの形がシュールな巨大獣だ。
だが見た目のヘンテコさと違い、かなりの強敵ではある。
俺はこの巨大獣ゴマゴガを機動要塞ドグローンに載せ、アクラデスとダンダルを連れ、北原未来要塞ベースに向かう事になった。




