第三十二話 巨大獣ゴマゴガ 狙われた千草! 4
「さて、ブキミーダさん。貴方の言う話を詳しく聞かせてもらえないものかな?」
代々木博士は俺の言う事に興味を示したようだ。
さて、ここは本当の事を言うべきか、それともそれっぽい話を混ぜて伝えるべきか…。…。
――俺は本当の事を話すことにした。
もう三十二話だ、この話も後残すところ1クール分という事になる。
本編と違い延長分の話をもし入れれるとしても、その前にダバール星の人工太陽が爆発してしまっては元も子も無い。
「わかりました、結論から言いましょう。あの三島防衛長官は本物ですが偽物です!」
「おや、言っている事が矛盾しておりますぞい、――本物だが偽物――とは……どういう意味ですかな?」
「わかりやすく言うと、あの三島長官の身体は本物で、中身は全くの別人という事です。つまり外側の三島長官という人物はそのままですが、中に入っているのは全くの別人です」
代々木博士はこの俺の説明にある程度納得したようだ。
「なるほど、それではブキミーダさんはあの三島長官は乗っ取られていて偽物が入り込んでいると言いたいのですな。確かにそれっぽい話ではありますが、それではその偽物とは一体……誰が入っているというのですかな?」
「ここからの話、信じられないかもしれませんが聞いてもらえますか」
俺は本当の事を話した。
「代々木博士、あの三島長官の中に入っているのは本物のブキミーダという男です、ヤツは狡猾で猜疑心が強く嗜虐的……まさに今の彼そのものでしょう」
「ふむ、確かにあの飛行機事故の後の三島はまるで別人のようだと思っておったが、それでは三島長官の中にそのブキミーダが入って乗っ取ってしまったというのですか。それではブキミーダさん、貴方は一体誰なのですかな?」
代々木博士はこの荒唐無稽な話を信じてくれた。
俺はこの世界の事、俺自身の事を伝える事にした。
「俺の、いや……私の名前は大河内邦裕、信じられないかもしれませんが今から三十年くらい先の未来からやってきました。そして、この世界はロボットアニメ……超電磁メカ・ガッダイン5の世界という事になります。だから私は子供の頃見ていたこの作品の事を結末まで知っているのです」
流石にこの話、代々木博士もバカにするレベルのあり得ない話だと思うだろうな。
「ふむ、何とも面白い話ですぞい。まあ全部が全部信じられるとは言い切れませんが、確かに貴方は嘘がつけない人だというのは何となくわかりますぞい。それで、この話の結論としては貴方はどうなると言いたいのですかな?」
俺は物語の結末を代々木博士に伝えた。
「話としては、ダバール星人は一部を残して滅亡します。その流れとしては、現在の奇岩島基地は壊滅し、その後貴方達がマグネコンドルでダバール星に向かい、ブキミーダと皇帝デスカンダルを倒しますが、人工太陽の暴走は食い止められず爆発する事になりダバール星は滅亡して、わずかな人が宇宙に脱出する事で地球に平和が戻り、ダバール星人は流浪の民となってしまうのです……」
ここまで信ぴょう性の高い結末を話した事で代々木博士は俺の言う事を信じてくれたようだ。
「成程、十分あり得る話ですな。それに、光一郎の作ったこのマグネコンドル、これが大型宇宙船だと知っているのは三島と儂と光一郎の三人だけのはず……それを知っているという事で貴方が本当に未来から来たというのも信じるしかなさそうですぞい」
代々木博士はマグネコンドル計画の事で俺が未来から来たと信じてくれたようだ。
「それで……あの三島長官が偽物だとすると、本物の三島長官はどこに?」
「それは……まだ今は伝える事が出来ません、下手にそれを言ってしまうと話の流れが大きく変わってしまうかもしれないのです」
これはまだ伝えるタイミングではない、俺はそう感じた。
「そうですか、それで……クニヒロさん。貴方はこの話をどう終わらせたいのですかな?」
代々木博士が俺に質問をしてきた。




