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第三十話 巨大獣ボルゴガ 火山の爆発を食い止めろ 1

 剣崎隊長が全員に命令を出した。


「総員、無線機の電源を切れ!」


 一体何が始まるのだろうか。

 ブルーマフラー隊は無線機の電源を切った。


 この事で北原未来要塞ベースの代々木博士にも状況は伝わらなくなっている。


「これからの会話は一切他言無用だ! いいな!」


 剣崎隊長が叫んだ。

 そして今医務室で治療中のガンテツ以外は全員が隊長の命令に敬礼をしている。


「さあ、青木大尉……いや、ミザーリン諜報官、これでこれから話す事は一切外には漏れない、貴女の事について話しましょうか」

「はい……」


 ミザーリンは少し安堵したような感じだ。


「それでは質問だ、貴女は何故ダバール星人なのに地球人の我々の為に避難誘導を率先して行っていたのか? 普通の軍人ならそんな行動は取らないはずだが」


 まあ剣崎隊長の言う事はもっともだ。


「はい、わたくしは実は以前、ある方に命を助けられました。その方はとても立派な方で……この戦争を早く終わらせたいと考えております。また、その方は、この戦争で罪も無い一般人が巻き込まれる事を望んでおりません。ですのでわたくしは、その方の指示で戦場になる前に一般人を避難するように誘導していました」


 それって間違いなく俺の事だよね。

 でもミザーリンはあえて俺の名前は隠してくれているようだ。


「なるほど、ダバール星人の中にも穏健派がいるというわけか」

「剣崎隊長、僕達は以前ダバール星人のキレーダさんと会話し、彼等が戦争を仕掛けてきた理由を知りました。彼等は母星の人工太陽の暴走によりそこに住めなくなっているので新たな移住先を求めて地球にやって来たのだそうです。ですが、敵のデスカンダル皇帝という人物は平和な話し合いよりも地球を侵略して奪おうと考えているのです」


 竹千代が剣崎隊長にキレーダさんの言っていた事を伝えた。


「そうですたい、ダバール星人が悪ではないですたい! 悪いのはデスカンダル皇帝ですたい!」


 それを聞いたトニー達タイタン部隊が動揺している。

 どうやら日にちが過ぎて洗脳ヘルメットの影響が薄れてきたようだ。


「そんな、オレ達はデスカンダル皇帝こそ正義だと思っていたのに……まさかそんな事だったとは……」

「デスカンダル皇帝が正義? どういう根拠でそんな事を!」


 流がトニーに食いつくように問いかけた。


「オレ達は……地球という星が原住民たちによってボロボロになっている。それなのでその星を食い荒らす地球人を殲滅した上で人工太陽の暴走で住めなくなったダバール星から地球に移り住むという崇高な目的の為にデスカンダル皇帝の指示に従っていたんだ……」


 どうやらトニー達もデスカンダル皇帝に騙されていたようだ。


 話を聞いていた剣崎隊長が腕を組んで考えごとをしている。

 そして彼は結論を出した。


「話は分かった。その上で結論から話そう!」


 ミザーリンは覚悟を決めたようだ、もしどんな結果でも受け入れる決意がその表情から感じられた。


「青木大尉は引き続き、ダバール星との友好関係構築の為特殊任務を継続する事。そのコードネームはミザーリンとする。また、彼女の行動は一般人の避難誘導や二つの星の穏健派との伝達役を確実に遂行する事! 以上だ!」

「隊長……それって?」

「これ以上言わせるな、彼女には引き続き平和の為のスパイ活動をしてもらおうという事だ。青木大尉、この命令を遂行できるか!」


 ミザーリンが涙を流しながらその場にうずくまった。


「はい……剣崎……隊長」


 ――助かった、ミザーリンが現状維持になったという事で俺の死亡フラグもどうにか回避できたのかもしれない。


「姉さん!」

「姉さん!」


 流とトニーがミザーリンに駆け寄った。


「話は以上だ。全員、二人を残して帰還準備に入れ!」

「トニー、おれ達も少し向うに行ってるぜ……」


 空気を呼んだ全員が流、トニー、ミザーリンの三人をその場に残し、場所を離れた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 剣崎隊長が上手くやってくれた様で何より。
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