第二十九話 巨大獣ギャンゴ 巨大な腕が襲う! 10
タイタン部隊は皇帝の命令に従うように訓練されている。
そして俺はデスカンダル皇帝の声を全部手に入れた上で自動音声にして作り出す装置を作った。
まあ流石に全部のあいうえお順に組み合わせるようなボーカロイド的な物では無く、あくまでもレコーダーで単語を繋ぎ合わせるアナログなシステムだが、簡単な命令を聞かせるには十分だ。
例えば―フロ、入れ―なら、フロートシテム のフロの部分の言葉と、入れはそのまま、うむ、入れ! の組み合わせといったところだ。
この組み合わせで俺はあの偽物ヘルメットにフロ入れの命令を入れてみた。
すると、出撃準備をしていたはずのタイタン部隊はそのまま偽の命令通りに大浴場に向かったわけだ。
よし、これで時間稼ぎが出来た。
今のうちにミザーリンが北原未来要塞ベースに特殊部隊タイタンが攻めてくることを伝えてくれるだろう。
さあ、昆虫型スパイドローンで様子を見てみよう。
北原未来要塞ベースではガッダインチームが作戦会議室に集められていた。
「おっちゃん、一体どうしたんだよ。そんなに血相を変えて」
「龍也、大事件じゃぞい! ダバール星の皇帝特殊部隊タイタンが攻めてくると青木大尉から連絡があった。儂は至急防衛軍のブルーマフラー隊に応援要請を送ったところじゃぞい」
「ダバール星特殊部隊だって!?」
「そうじゃ、どんな相手かも想像がつかん、じゃから儂は防衛軍の上層部に頼み至急ブルーマフラー隊をこの北原未来要塞ベースに呼んだのじゃぞい」
どうやら話の流れが変わっているようだな。
本編ではこのダバール星皇帝特殊部隊タイタンを迎え撃ったのは三島防衛長官とその直属の精鋭部隊だった。
だが今のこの時間軸ではその三島長官がいないので代わりにそれに匹敵する人物という事でブルーマフラー隊の剣崎隊長達が呼ばれたという事なのだ。
「ブルーマフラー隊は間もなく到着予定じゃぞい、青木大尉もその輸送機に乗ってこちらに向かっておるらしい」
どうやらミザーリンはブルーマフラー隊と合流して北原未来要塞ベースに向かっているようだ。
さて、こちらも風呂上がりのタイタン部隊を出撃させる事にするか。
時間稼ぎは成功した……後は一応原作通りの流れに話を合わせておいてタイタン部隊が負ける流れにすればいい。
「マーヤ、俺達もそろそろ出撃するぞ」
「了解です、ご主人様ー」
俺とマーヤちゃんは皇帝特殊部隊タイタンと巨大獣ギャンゴを機動要塞ドグローンに載せ、日本を目指した。
目標、北原未来要塞ベース!
ドグローンは一時間半もかからず相模湾上空に到着した。
「タイタン部隊出撃! ガッダインはオレが引き付けておく!」
「「「「「「「「了解! サー! デスカンダル!」」」」」」」」
この変な号令、特殊部隊タイタンの敬礼らしい。
そしてトニー隊長は巨大獣ギャンゴに乗り込み、タイタン部隊はそれぞれが一機ずつグローン円盤で北原未来要塞ベースに向かった。
さて、原作ではミザーリンが乗っていた巨大獣ギャンゴだが、動きがまるで違う。
コレがパイロットとしての素質の違いなのだろうか。
そして相模湾から北原未来要塞ベースに巨大獣ギャンゴが侵攻すると、ガッダイン5が迎え撃つように立ちはだかった。
ここまでの話になると流石に合体バンクシーンも簡略化されているのだろうが、それは触れてはいけない話なのだろう。
「やいやいやい、特殊部隊か何か知らねえが基地には一歩も踏み込ませないぜ!」
「フン、アレが地球のロボットか。相手をしてやろう!」
トニーはギャンゴの右腕からエネルギー弾を発射した。
この命中率、速度……ミザーリンとは比べ物にならない!
「うわぁあああっ!」
「キャアッッ!」
ガッダイン5はトニーの操縦する巨大獣ギャンゴのエネルギー弾の前に一方的に攻撃されていた。




