第二十八話 巨大獣ズベベガ 宇宙からの襲撃者 6
「キレーダさん、貴女にダバール星と地球の未来がかかっておるのですぞい。知っている事を教えてもらえますか?」
「は、はい。ダバール星の人工太陽、それはわたし達の生活に欠かせない存在でした。ですが、今その人工太陽は暴走し、修理も出来ないままこのままでは大爆発を起こし、わたし達ダバール星人は滅亡してしまいます」
これは本編では誰が伝えた話だったかな……?
確か、四十二話でのハリール王子派の学者の誰かがマグネコンドルでダバール星に到着したガッダインチームに伝えた話だ。
残念ながらダバール星人は人工太陽を制御できず、デスカンダル皇帝が死に、仕方なく全員は助けられずに選別されたダバール星人達が宇宙船に乗れるだけ乗って宇宙を放浪する民になる話だった。
まあその際に腐敗貴族は革命で始末されたので生き残ったのは虐げられていた市民達だったが、何とも後味の悪い話ではあった。
――まあ地球の方としては侵略者のボスのデスカンダル皇帝が死に、ダバール星人の脅威から地球は守られました、めでたしめでたし――だったんだけどな。
浜野監督から引き継いで交代した長富監督としては、本当はダバール星人も全員助ける話にしたかったそうだが、スポンサーの問題で五十話の話が四十四話になってしまったのでこの結末で纏めるしかなかったらしい。
これはガッダイン5大百科に書かれていた監督インタビューの最後の方で触れられた話だ。
「おっちゃん、それで、その人工太陽の暴走を止める事は出来ないのかよ! それが出来たらアイツらが地球に攻めて来る事も無くなるんだろ」
「龍也君、話はそんなに簡単じゃないぞい。それで話が終わるなら戦争なんて起きんぞい。あ、すまんすまん、龍也君が電話の向こうで話をしておったんじゃぞい」
だが龍也の言う事も一理ある。
ダバール星人が地球を攻める理由の大半は、移住先の確保だ。
それなら移住する必要が無くなればダバール星人はそのままダバール星に住む事が出来る。
だが、それをあの強欲なデスカンダル皇帝が受け入れるかどうかだが……。
「そうも言えません、もし……人工太陽の問題が解決しても、今のデスカンダル皇帝は地球侵略を止めないでしょう」
「一体そのデスカンダル皇帝とは何者じゃぞい?」
「デスカンダル皇帝は、強欲な野心家です。わたしは彼の妻にされそうになりました、わたしはそれが嫌で軍に志願し、本星を離れたのです」
ここでデスカンダル皇帝の話が本格的に出たか。
本編だとダバール星人の黒幕、デスカンダル皇帝の名前をガッダインチームが知るのはマグネコンドル浮上後だ。
「キレーダさんを! 許さん、そのデスカンダル皇帝ってやつ、オイがぶん投げてやりますたい!」
「フフフ、頼もしいですわ。ゲンタローさん」
「おほん、それで……ダバール星人の貴女としてはこの後どのように考えておるのですかな?」
代々木博士の質問はある意味結構厳しい指摘だ。
だがここで彼女の気持ちを知っておく事は必要だろう。
「わたしは、もし出来るのでしたら地球人としてゲンタローさんと一緒に暮らしたいです。そしていずれは、ゲンタローさんとの赤ちゃんが……欲しぃ……あ、今のは聞かなかったことにしてください!」
ちょっと焦った様子でキレーダさんがわたわたしている。
後ろでは巴さんの笑い声が聞こえた。
「ふむ、貴女の気持ちはよくわかりましたぞい。それで……」
「おっちゃん! オレにも話させてくれっ!」
「おっちゃん言うなぞい。まあ分かったから、ちょっと待っとれ」
そして今度は電話に龍也が出た。
「キレーダさん、エリさん……エリーザさんって一体どんな人なんだ!?」
「え? エリーザ様……ですか? わたしのご学友ですが」
――どうやらこのキレーダさんとガッダインチームの電話、まだ続きそうだな。




