第二十八話 巨大獣ズベベガ 宇宙からの襲撃者 1
ガッダイン5と俺達は協力してウルフ博士と三島防衛長官の姿をしたアイツのプレシオンロボを破壊した。
アイツとウルフ博士はプレシオンロボの頭部に乗って館山海底基地から逃げ出したようだ。
「けっ! 逃げ足だけは早いヤツめ! 一昨日きやがれってんだ!」
「龍也くんっ、大丈夫っ?」
「ああ、千草。こっちは問題ないぜ……それより」
龍也が何を言いたいのかはよく分かる。
エリーザ様が本当にダバール星人だという事を確認したいのだろう。
今の彼女は肌の色を変化させるクリームの効果が切れているため、青肌の姿のままだ。
「やい、バルガル将軍! オレにエリさんと話をさせろっ!」
「う、うむ。わかった。少し待ってもらおう」
バルガル将軍はエリーザ様と共に巨大獣ベミンガから降りて来た。
青木大尉の姿のミザーリンも横に居る。
そこにガッダイン5から龍也達ガッダインチームも降りて来た。
「バルガル将軍、お前の横にいるのが本当のエリさんなんだな!」
「そうだ、この御方はダバール星地球方面侵略軍司令官、シャールケン提督の妹君、エリーザ様である」
龍也は少し怒ったような様子だったが、流に肩を掴まれた。
「龍也、落ち着け。ところで、姉さんはなぜここに?」
ミザーリンはバルガル将軍に何か目で合図をしていた。
ここは話を合わせてほしいという事だろう。
「わたくしは最近動向のおかしい三島防衛長官の様子を探る為に防衛軍本部からの命令で極東司令部の様子を探っていたのです。そこで三島防衛長官と巨大頭脳ブレイン総統の率いるブレイン軍団の科学者であるウルフ博士が秘密裏に協力している事を突き留めました」
なるほど、確かにこの話なら地球防衛軍の大尉の姿のミザーリンがここに居る事に何の違和感も無くなる。
「そしてブレイン軍団の基地がこの館山のどこかにある事を確認しました、その後基地に潜入したわたくしが見つけたのが基地の中に捕らわれていたこちらの方、ダバール星人のエリーザ様だったわけです」
「なるほど、姉さんは三島長官とウルフ博士を探していて偶然捕らえられたエリーザさんを助ける事が出来た、というわけだな」
まあこの説明なら何の違和感もあるまい。
「そこに吾輩がブキミーダ殿から聞いた情報を元にエリーザ様が捕らえられている基地がここタテヤマにあると聞いたので駆けつけたところ、この地球人の女がエリーザ様を助けてくれていたので吾輩も協力したのだ」
この説明にガッダインチームの全員が一応納得した形だった。
「なるほどな、それでアンタらダバール星人の巨大獣出現の情報を聞いたオレ達ガッダインチームが駆け付けたってワケか」
「そういう事になるな、まあ吾輩達はこれ以上お前達と争うつもりはない、エリーザ様さえ連れて帰るのを邪魔されなければこれ以上手出しをする気も無い」
「待ってくれ、その前にオレにエリさんと話をさせてくれ!」
バルガル将軍は少し困ったような顔をしている。
ここは俺からも何か提案した方が良さそうだな。
「良いだろう、地球人よ。三分だけ時間をやる。その間に伝えたい事を話すがいい」
「ブキミーダ殿!?」
「バルガル将軍、彼等を三分間だけ二人きりにしてやってくれ」
よしっ、これで龍也とエリーザ様の話がこじれなければ平和的解決への第一歩になる!
バルガル将軍は不本意ながらもその場を離れた。
ガッダインチームとミザーリンも空気を呼んで一時的に彼等を二人きりにしてくれたようだ。
さて、俺は昆虫型スパイドローンで様子を見てみよう。
「龍也サン……。ゴメンなさい」
「その声、アンタ本当にエリさんなんだな!」
「はい、私はエリーザ。ダバール星人地球方面侵略軍司令官シャールケン提督の妹です」
「どうして、どうしてオレに近づいたんだ!? お前はスパイだったのか!」
まあ龍也が怒るのも無理はないが、この後話は一体どうなるのやら……。




