第二十七話 巨大獣ベミンガ 出た! 新必殺技 7
ガッダイン5が館山に到着した。
鉄巨人イチナナは今頃勝浦の海岸でアインアハトと戦闘中だ。
鉄巨人イチナナの本編だとこの対決でデビル回路に不具合を起こしたアインアハトが巨大頭脳ブレイン総統に対し疑問を持つようになり、今後の反旗を翻す話につながる。
その中でこの二体の対決を邪魔したのが館山海底基地から出現したプレシオンロボだったわけだ。
だが今は館山でプレシオンロボと俺達ダバール星人の機動要塞ドグローンと巨大獣ベミンガ、それにガッダイン5が対峙している状態だ。
この状況でガッダイン5と戦うのは避けた方が良いだろう。
――それならばむしろガッダイン5と協力した上でエリーザ様を助け出し、プレシオンロボを撃破した方が良さそうだ。
「ガッダインチーム、聞こえるか? ワシはダバール星人のブキミーダ参謀長だ。話がある」
「へっ! どうしたってんだよ、オレ達に怖気づいたってのかよ」
「龍也、茶化さないでっ! それで、ブキミーダさん、私達に話って何ですかっ?」
千草が俺の話を聞いてくれると言っている。
「フッ、おれはどうも信用できない声に聞こえるけどな……」
それを言わないでくれ、このキャラの声は生まれつきだ。
「でも人は見た目では無いと言うですたい、オイは話を聞いてみる価値はあるかと思いますたい」
玄太郎はダバール星人のキレーダ、つまりブキミーダの娘に好意を持っているので俺に対しての敵意は無さそうだ。
「助かる、それでワシからの提案とは……あのプレシオンロボを倒すのに一時休戦をしたいという事だ、あの基地からワシらはエリーザ様を助け出した。だがこのままではあそこから動けないと言うわけだ」
「エリさんが! わかった、話を聞くぜ、ブキミーダのオッサンよぉ」
オッサン呼ばわり……本編だと間違いなくブキミーダがブチ切れる言い方だ。
だが俺はそんな事は気にしない、まあ転生前がオッサンだったわけだからな。
「お前達がプレシオンロボを引き付けてくれたらその間にワシらがあの巨大獣でエリーザ様達を助け出す、そこまで一時休戦で協力しようという事だ、出来るか?」
「あ、アレは! 姉さんもいるのか!」
流が遠距離をゴーグルで確認してエリーザ様と一緒に居る青木大尉の姿のミザーリンに気が付いたらしい。
「龍也、おれも協力するぜ、姉さんがあそこにいるんだ!」
「渚さんが!? わかった、とにかくあのプレシオンロボをオレ達が倒せばいいんだな」
「頼む、ガッダインチーム」
これでどうにかなりそうだ。
「ハハハハー、ガッダイン5デスかー! ワタシの敵ではないデース! プレシオンロボ、粉々のスクラップにしてヤレ!」
ウルフ博士が叫んでいる。
その隣には三島長官の姿のアイツもいるようだ。
「くそっ! 何故ココが分かった!?」
そりゃあ俺はガッダイン5だけではなく鉄巨人イチナナの全部の話も覚えているくらいだから、この館山海底基地の話も知っている。
即席チームのウルフ博士と組んだ三島長官の姿のアイツとは年季が違うんだ。
「プレシオンロボ、人質をアイツらに渡してはいけまセーン、ブッ殺してしまいなサーイ!」
「ギャオオオオーン!」
プレシオンロボからミサイルが発射された。
このミサイルは水陸両用ミサイルだ。
基地の浅瀬の海上に立っているガッダイン5目掛けてミサイルが放たれた。
「危ないっ!」
「ぬううぅうんッ!」
なんと、ガッダイン5目掛けて放たれたミサイルをクローで切り裂いたのはバルガル将軍の乗る巨大獣ベミンガだった。
「ガッダイン、アイツは吾輩が引き受ける。エリーザ様達を助け出してくれ!」
「わ、わかった! 将軍、死ぬんじゃないぞ」
「フン、この猛将バルガル、こんな所でおいそれと死ねるものか!」
まあバルガル将軍がこんな相手に負けるわけが無いのである意味安心ではある。
さて、この後どう状況が変化するか、それが問題だ。




