第二十七話 巨大獣ベミンガ 出た! 新必殺技 6
「このバルガル、自ら犯した失態は必ず取り戻す! 巨大獣ベミンガ出撃だ!!」
今回の巨大獣ベミンガは本来人工知能で動くタイプの物だったが、俺はバルガル将軍に頼まれてそれを人が操縦する形に改造した。
巨大獣バルバルを大破させ、今彼が乗れる巨大獣が存在しないからだ。
だがそれが今回は良かったのかもしれない。
巨大獣ベミンガは特徴の無い機体で、ガッダイン5本編でも単に新必殺技でやられただけの存在だった。
だが水陸両用のこの機体、ブレイン軍団の館山海底基地からエリーザ様とミザーリンを脱出させるには丁度いいポテンシャルだとも言える。
本編では東京湾から千葉湾岸に現れ、コンビナート群で暴れた巨大獣ベミンガだったが到着したガッダイン5によってあっという間に倒されてしまった。
まあ総集編の全編があったから新規映像部分の後半戦闘シーンが巻きになってしまった為とも言えるだろうが……。
本編での扱いが雑だった巨大獣ベミンガだが、巨大なクローとずんぐりとした巨体は守備力に長け、そのクローで館山海底基地の側壁を壊して出入口以外からエリーザ様とミザーリンを助け出すには丁度良かったようだ。
また、バルガル将軍の操縦技術の高さのおかげで巨大獣ベミンガは特に海底基地からの攻撃を物ともせずに突入できたようだ。
「エリーザ様ー! どこにおられますかー!」
「あの声は、バルガル! 私はここです、こちらに居ます!」
エリーザ様とミザーリンはウルフ博士のロボット兵団に追い詰められ、崖の方にいた。
「フハハハハー、どこへ逃げようというのデース! もう観念して捕まりなサーイ!」
「エリーザ様、ここはわたくしが……必ず!」
「ハハハハー! この基地のある場所に誰が気付くというのデスか!? 観念して大人しく捕まりなサーイ!」
ウルフ博士はここに俺達が来ている事にはまだ気が付いていないようだ。
まさか鉄巨人イチナナ本編の内容まで俺が知っているとは思わないだろう……。
「エリーザ様ー!」
「バルガル! ここです、私はここに居ます!」
「エリーザ様、ミザーリン殿、今から突入しますぞ! 何かをしっかりと掴んで下さい!」
巨大獣ベミンガの巨大なクローが館山海底基地の側壁をぶち破った。
側壁が壊れ、基地の外が見える。
「ババッバババッ! バカなっ! 何でココが!? ココが分かったデース!?」
ウルフ博士が狼狽えている。
まあそりゃそうだろう、どう考えてもこの基地がバレるわけがない。
ましてや巨大頭脳ブレイン総統の宿敵である鉄巨人イチナナならまだしも、全くの部外者であるはずのダバール星人の俺達がここを知っているとはとても思えないだろう。
「さあ、エリーザ様、こちらにどうぞ」
「バルガル、助かりました」
「いえいえ、吾輩だけではとてもここに来る事は出来ませんでした、お礼ならブキミーダ殿に言ってあげて下さい」
バルガル将軍は俺の事を高く評価してくれている。
本編のブキミーダは――自身がどれだけの事をした――とやたらとアピールしまくっていたが、バルガルにもミザーリンにもエリーザ様にも相手にされていなかった。
この違いは行動だけではなく性格の違いも大きく影響しているのかもしれないな。
バルガル将軍が巨大獣ベミンガで館山海底基地の出撃用ハッチをメチャクチャに破壊した。
これでプレシオンロボもすぐには出撃出来ないはず。
俺は機動要塞ドグローンでバルガル将軍の乗る巨大獣ベミンガを迎え入れる為に海上に浮上した。
だが、そのタイミングに合わせるかのようにガッダイン5が太平洋側から飛来、館山上空に姿を現した。
「おいおい、一体どうなってるんだよ、ダバール星人がブレイン基地を攻撃しているぞ?」
「龍也さん、何か様子が変です。ここは少し状況を見ましょう」
今俺たちはガッダイン5と戦っている場合では無い、ここは休戦を提案した方が良さそうだ。




