第二十七話 巨大獣ベミンガ 出た! 新必殺技 1
営倉から釈放された俺は、アクラデス執政官に呼び出された。
俺が呼ばれたのは謁見の間ではなく彼女の部屋だ。
彼女はこの部屋の内装がかなり気に入っているのか特に内装を変更しろとは一言も聞いた事が無い。
俺が部屋に呼ばれて部屋に入ると、まあいかにも女の子の部屋といった感じの場所だった。
俺が用意した覚えの無い大きなパンダの縫いぐるみが有ったが、これがどこから入手した物かはあえて聞かない事にしておこう、命あっての物種だ。
「来たか、ブキミーダ。今から話す事は他言無用なのだ。バラしたら……マジで処す!」
処すって……、そこまで言われてバラすほど俺命知らず違いますよー。
「ももも……勿論誰にも言いません、この部屋の中身の事も……!」
「そうか、我は人を見る目には自信がある。お前はそういう場合にわざわざ他人に情報を漏らすタイプでは無いのだ」
まあこれは当たっているだろう。
彼女は洞察力が鋭く、他人の行動を先読みするタイプだ。
「その上でお前に見てもらいたいものがある。コレを見るのだ」
「コレとは……?」
彼女が部屋のテレビモニターの電源を入れると、そこには昨日の可愛らしい動物の赤ちゃんの映像が映った。
それを見たアクラデスの顔が真っ赤になっている。
「ちちちち、違うのだ! コレは地球の生態系を色々と調べた上で……」
「大丈夫ですよ、誰にも言いませんから」
「だから違うというのだ! コレはテスト映像、お前の言っていたテレビとやらを録画する機能を付けたものなのだ!」
彼女は確かに天才かもしれない。
あのテレビ映像と記録映像の録画機能を合わせる事で簡易的にビデオ撮影機能を作り出してしまったのだ。
「それは凄いです、流石はアクラデス様……!」
「そ、そうか。そうなのだ、我は天才なのだ」
おだてられて彼女が少し笑顔になったが、その後再び真剣な表情になった。
「お前に見てもらいたいモノはコレなのだ」
「これは……ガッダイン5の戦闘記録?」
「そうだ、我が巨大獣アゴゴルに取り付けていた戦闘記録映像を録画したモノなのだ」
彼女はコップに入った飲み物を飲みながら映像の続きを俺に見せようとした。
「あちちちっ! 熱いのだ、何だこの機械は! きちんと温度調節もできんのか!」
「も、申し訳ございません、アクラデス様」
「まあいいのだ。それよりこの映像を見るのだ」
巨大獣アゴゴルはダンダル軍務卿の命令でガッダイン5と戦っていたが、原作通りの動きで顎で噛み付いたが簡易的に作った超電磁プロペラと超電磁ワイヤーを合わせた超電磁ムチによって顎を縛り上げられた後、下からのジェットアッパーで吹き飛ばされ、超電磁スマッシュでとどめを刺されて爆発していた。
「何なのだ!? あの地球のロボットは!? あんなに強い敵がいるとは聞いていないのだ!!」
まあシャールケンが何度も負けた理由があのガッダイン5だからそれは仕方ないかと。
「我はあのロボットを手に入れたいのだ。アレが有れば地球侵略がすんなりと進むはずなのだ!」
ここがアクラデス執政官とシャールケン提督の違いだと言えるだろう。
シャールケンはあくまでも武人としてガッダイン5は倒す対象と見ていた。
だがアクラデスは戦略的にガッダイン5を鹵獲し、戦力にしようと考えている。
「ですがアクラデス様、あのロボットを手に入れるのは……至難の業かと」
「フン、普通ならそう思うはず、だが我は天才なのだ。いくら最強のロボットとて操っているのは普通の地球人なのだ。それならソフト面、つまりは操る地球人の方を鹵獲してしまえば良いのだ!」
確かにそれは作戦としてはかなり有効的だが、ロボアニメの敵の作戦的にはかなりの変化球だと言えるやり方だ。
アクラデスは本編でもこのような作戦を次々と提案する軍師タイプのボスだった。




