第二十六話 巨大獣アゴゴン 新幹部アクラデス登場! 6
次の日、ようやく台風が通り過ぎ、北原未来要塞ベースに晴天が戻った。
そしてようやく代々木博士が戻ってきたようだ。
どうやら何かの会議に出席していたが、そのまま台風で飛行機が飛ばずに立ち往生していたらしい。
「みんな、心配をかけたぞい」
「博士っ、お帰りなさいっ」
「ああ、ただいま。それで、何か変わった事はあったのか?」
まあそれほど変わった事といえることは無さそうだ。
この数日台風で外に出られなかった事くらいだろう。
「ふむ、そうか。それで、ガッダイン5が今のままではダバール星人に勝てないのでパワーアップを指示しておったがまだ試運転は出来ていないようじゃな。よし、それでは調整完了後試運転をするが良いぞい」
「代々木博士……いや、何でも無いですたいっ」
多分玄太郎が言いたかったのは九州まで試運転で飛びたいと言いたかったのだろう。
だが母親の巴に一人前になるまで実家には戻らないと言った手前、それを我慢したという事か。
「オイ、ちょっと出かけてくるたいっ!」
玄太郎は下駄履きで風呂敷包みを抱えて基地の外に走っていった。
多分郵便局に行ったのだろう。
この時代まだ宅配便サービス業は始まったばかりでそれ程メジャーではなく、田舎に物を送るのは郵便小包の時代だった。
彼は郵便小包で巴とキレーダに自らの描いた絵を送ったようだ。
さて、九州に届いたくらいにあちらに配置したままだった昆虫型スパイドローンで様子を見てみるか……。
幸いまだアクラデスやダンダルは自分達の部屋で旅の疲れを癒して羽を伸ばしている頃だ。
そこでテレビアニメの――トールのミラクル大冒険――を見ているマーヤちゃん、そろそろ動きますよ。
「ミラクルミラクルハーンマー♪」
はいはい、エンディングね。
さて、そろそろ俺も準備しなくては。
それに本編と大きくずれ込んだエリーザ様の拉致監禁。
これも早く問題解決しないと大変な事になりそうだ。
とにかく本編の二十六話を思い出してみよう。
まずアクラデス執政官とダンダル軍務卿が奇岩島基地に到着するまでは話の流れは本編と同じだ。
まあ与えた部屋が本編と違うので本人達の機嫌の良さと俺への印象が全く変わっただろう。
本編でやっつけ仕事的に部屋を用意したブキミーダは全く空気を読まずに有った部屋そのままを提供したのでアクラデスは常に不機嫌、ダンダルは退屈しのぎに捕虜の虐殺を部屋で行うような蛮行をしていた。
だが今回の俺のおもてなしテクニックで、彼女達には本人の最高に気にいる部屋をセッティングした事で話は大きく変わる可能性がある。
やはり人間住む環境が性格を変えるとは言ったもんだ。
住みやすい環境に居るとそれだけ性格も穏やかになる。
――っと、また話が脱線した。
とにかく、二十六話の前半はガッダインチームが台風の中待機していて、玄太郎がキレーダの遺影を描いているところと、アクラデス、ダンダルが奇岩島基地に到着して部屋を紹介されるまでだった。
そして後半でようやくアクラデスが新司令官としてダンダルに出撃するように命令する。
その際にバルガル、ミザーリン、ブキミーダが自分達はどうすれば良いのかをそれぞれが聞いたが、――無能なキサマらに用は無いのだ!――と言われ、全員がそれぞれ営倉に閉じ込められる事になった。
無能なシャールケンの部下とは違うと言って出撃したダンダルだったが、地球の重力にまだ不慣れだった為、巨大獣アゴゴンで出撃するも思ったように動けず修理の終わったばかりのガッダイン5にあっさり負けてしまう。
弟のあまりの不甲斐なさに激怒したアクラデスは部下に命令して営倉にダンダルを放り込み、三人を営倉から釈放した。
その上で三人にガッダイン5について知っている事を話させる。
ここまでが二十六話の話だ。




