第二十六話 巨大獣アゴゴン 新幹部アクラデス登場! 5
これで少しはアクラデスの信用を得る事が出来たかもしれない。
次はダンダル軍務卿だ。
「そうそう、ダンダル様にも部屋を用意しておりますので」
「そうか、小生の部屋はあんな少女趣味な物は勘弁してくれよッ」
そんなもん分かってるっての。
むしろアンタにピッタリの部屋作ってますって。
「さあ、こちらになります」
「おお、この部屋はッ!」
ダンダル軍務卿の部屋はロボット格納庫近くの地下の広い空間に用意された。
ここならいくら騒いでも音が外に漏れないからだ。
それでいながらエレベーターを使えばすぐにでもアクラデスの部屋に近い場所なのですぐの呼び出しにも対応可能。
――そして何よりも大事なのは、この部屋が完全防音耐性という事だ!――
ダンダルの歌で先程酷い目にあった捕虜たちはどうにか立ち上がれる状態に戻ったので捕虜達の部屋に戻す事になった。
とりあえず明日は全員の体調の管理の為に一切の作業を休止とする。
明日は最低限のロボットだけを動かさせる事で捕虜たちの英気を養わないと……。
ダンダルの歌ははっきり言ってボエーというレベルの騒音公害だ。
だから彼の部屋を地下の周りに響かない場所に作って正解と言えるだろう。
そして部屋には歌い放題のカラオケルームを付けておいた。
これで本編であった人質を虐殺する部屋を作らずに済む。
さあ、ようやく落ち着けたかな。
ダンダルとアクラデスの両方の機嫌取りが出来たのでそれでは監視カメラを見てみよう。
アクラデスはオレの想像通りの動きで、ニコニコしながら大きな縫いぐるみを抱きしめてゴロゴロとベッドの上を何度も転がっている。
よほどこの部屋が嬉しかったのだろう。
ダンダルはマイクを片手に歌を歌い続けている。
採点ロボにお世辞機能を付けておいたので奴はかなり満足そうだ。
今日は意図しない休日になったので奇岩島基地は全員が休憩している。
――さて、北原未来要塞ベースの様子を見てみよう。
どうやら代々木博士はまだ不在らしい。
今日本では台風直撃で誰も外に出れないようだ。
ガッダインチームも待機状態、龍也は部屋のベッドで落ち着かない様子、流はギターを弾いて、玄太郎は漫画絵を描いているな。
あの絵は……キレーダか。
そう言えば本編でも玄太郎はキレーダの絵を描いていた。
だがそれは彼女の遺影とも言えるもので、モノクロで仕上げられた絵を玄太郎の部屋に飾るためのものだった。
だが今玄太郎が描いている絵は水彩絵の具で綺麗な色付けをした絵だ。
どうやら九州の彼の実家に送る為らしい。
玄太郎が完成した絵を郵便で出す為に包もうとした時、ガッダインチーム全員がロビーにいる玄太郎に声をかけた。
「よ、玄太郎。それ何だよ?」
「た、龍也どん……特になんでもないですたい」
「コレって絵よねっ。え、コレってキレーダさん?」
「綺麗ですね、流石は玄太郎さんです」
玄太郎の描いたキレーダの絵は少女漫画風に目がキラキラしていたがとても美人に描かれていた。
「これ、キレーダさんが見たらとても喜ぶと思うわっ」
「そうだな、かわい子ちゃんはこういうのが好きだからな」
「みんな、茶化さないでほしいですたい……」
玄太郎が顔を赤くしてどぎまぎしている。
そんな彼をみんなが見て笑っていた。
「そうだ、この絵が玄太郎さんの実家に着いたら電話してみたらどうですか?」
「そうよねっ。そのついでにエリさんについて聞いてみればっ」
「エリ……。待ってろ、オレが必ず助けてやる!」
龍也は三島長官の姿のアイツにさらわれたエリーザ様を助け出すと言っていた。
その為にキレーダにダバール星人やエリーザ様について電話で聞き出そうという事らしい。
まあ代々木博士が不在で、ガッダイン5も大幅修理とパワーアップ中の彼等に今できるのは情報を集める事くらいなのだろう。




