第二十六話 巨大獣アゴゴン 新幹部アクラデス登場! 4
俺、マーヤちゃん、ダンダル軍務卿の三人は、アクラデス執政官にこっぴどく叱られた。
いや、何というか……アクラデスって怒っていても美人だな。
中性的なイメージと言われればそうだが、女だと分かっていて見るとかなりの美人だ。
というよりも、髪の色と肌の色を変えれば北原千草そっくりだとも言える。
コレは安川氏による意図的なキャラクターデザインであり、決して手抜きではない。
むしろこのそっくりな見た目を利用し、千草がブキミーダに捕らわれる話ではガッダインチームの中に変装したアクラデスが入り込む話があった。
まあ何故キャラが似ているのかのオチについて、俺は知っているが今はそれがどうしても必要という話でも無い。
まあ今は激おこのアクラデスに素直に怒られておこう。
ダンダル軍務卿なんて涙目になっている。
コイツ、残虐なキャラのはずなのに後半のギャグメーカーでもあるからな。
「コラ! ブキミーダ、聞いておるのか? 聞こえていたら返事をするのだ!」
「は、はい。アクラデス様」
「まったく、ダンダルは興奮すると見境が無いのだ。何度我がお前の尻拭いをしてやったと思っているのだ?」
血の気の多いダンダルは本編でも色々やらかす事になる。
その度にアクラデスがその後始末をしていたのだが、この後始末のやり方があまりに合理的で冷徹だったので彼女はメイン層の子供達には人気が無かった。
まあ子供にはカッコいい戦い方で分かりやすい性格のシャールケンの方が敵としてもカッコよく見えたのだろう。
「兄者、すまない……」
「すまないですまない事をお前は何度何度何度やったら気が済むのだ? だからお前はアホなのだ!」
まあそれを言われたら身もふたもないだろう。
「まあいい、もう歓迎会はいいから我の部屋に案内するのだ」
「はっ、アクラデス様、こちらで御座います」
俺はアクラデスを奇岩島基地の特別室に案内した。
「な、何なのだ!? この部屋は……!?」
「申し訳ございません。時間がありませんでしたのでエリーザ様の部屋をそのままお使いいただけますでしょうか……」
ここは……本当はエリーザ様の部屋とは別の部屋だ。
だけどわざわざ少女趣味に部屋を仕立てている。
何故なら俺は本編で千草と入れ替わってガッダインチームに成りすました時の彼女の行動を知っているからだ。
アクラデスは大きな縫いぐるみをギュッと抱きしめてゴロゴロして――はあ、この女が羨ましいのだ――と言っていた。
つまりは本当の彼女は少女趣味で、ガーリーな部屋で縫いぐるみを抱いてゴロゴロしたいのだろう。
「あ、兄者ッ! これはあまりにもふざけているッ。ブキミーダ! こんな変な部屋に兄者を住ませるつもりかッ!?」
「よいのだ。ダンダル……。時間が無い中でブキミーダは精一杯の事をしようとしているのだ。我はこの部屋で良いのだ」
ダンダルはかなり不本意といった態度だが、アクラデスは内心かなり喜んでいるだろう。
何故なら本編でブキミーダの用意したアクラデスの部屋はシャールケンの部屋をそのまま掃除しただけの武骨で殺風景な部屋だった。
だからいつも不機嫌だったのかもしれないがアクラデスがニッコリ笑った姿は本編ではほぼ見れた事が無い。
そんな彼女のニコっと笑った姿が見られたのは、皮肉にも千草の部屋に潜入した時だけだった。
それにこの部屋には特設で個人用の広いシャワールームも設置しているので彼女が気に入らないわけが無い。
だが下手にそういう事まで最初から分かっていると、彼女が女だと知っているという事になる。
だからここは本来本星からの貴族の来客用の部屋だったという事にしておこう。
そこをエリーザ様が使っていたという事にすれば、不自然ではあるまい。
「ふむ。我はこの部屋が気に入ったのだ! ブキミーダ、お前を褒めてやるのだ」
ほっ。どうにか俺はアクラデスの信頼を少し得る事が出来たようだ。




