第二十六話 巨大獣アゴゴン 新幹部アクラデス登場! 2
アクラデスの声は、タイムドカンの三人組悪役の真ん中の美女か……あるいは家に居候ロボットのいるダメ小学生と同じ声に聞こえる。
――まあなんというか、男の声ではなく美女か少年といった声だ。
このキャラクター、――光速超人ゴッドマグマ――のテロス司令官と同じ声だったが、彼女も男装の麗人キャラだったのでこの頃は歌劇団の男装キャラが悪役で人気だったという事か。
まあ約十年後の戦隊ヒーロー、――電光戦隊ファイトマン――の副官ジーダは反対に美人な女性が演じるキャラを男が声を吹き替えする異色のキャラだったがこれは例外中の例外だと言えるだろう。
「ブキミーダ、聞いておるのか、聞こえたら返事をするのだ」
「は、アクラデス様!」
「我は長旅で疲れた、パーティーはいいからすぐにでも休ませるのだ」
あらら、折角歓迎パーティーを用意したのに。
まあいいか、それなら次の作戦だ。
幸いこの奇岩島は、火山地域に存在するので温泉が湧き出るようになっている。
その為、捕虜も衛生面は気にせずに風呂に入れるようになっているのだ。
「アクラデス様、面白いものを用意しております。あちらにお越し下さい」
「面白い物? それは何なのだ? つまらないものだったら許さないのだ」
いやいや、貴女が目をシイタケにするくらい喜ぶものだって分かってますから。
原作の後半、彼女が女バレした後はこのシーンが名物になるくらいに。
「こ、これは……何なのだ!?」
「はい、ここは奇岩島の火山地域を利用した温水プール、大浴場で御座います」
「兄者、小生腹減ったので何か食ってきていいかッ?」
「好きにするのだ……」
どうやらアクラデスが言葉を失っているようだ。
そう、彼女は異例の潔癖症で風呂好きなのだ。
「今はアクラデス様の貸し切りにしてありますので誰もおりません、どうぞゆっくりと旅の疲れをお癒し下さい」
「キ、キサマ……こんなモノで我が喜ぶとでも思っておるのか……?」
「いいえ、コレはワシのほんの気持ちで御座います」
さて、当然ながら女である事を知られたくないだろうから俺はさっさとこの場を離れてしまおう。
でも隠しても嬉しそうなの態度で見え見えなんだけどな。
「もし何でしたらアクラデス様専用の浴室を用意しますが、いかがでしょうか?」
「う、煩い! キサマ、さっさと出て行くのだっ!」
俺はアクラデスにさっさと大浴場から出るように命令された。
さて、それでは突貫作業でアクラデス専用の浴室を用意するか。
実はこれもガッダイン5大百科の奇岩島基地見取り図に載っていたものだ。
この火山群にある奇岩島、地下に豊富な温泉と地下水が有るので基地としてのロケーションは最高の場所だ。
また、ドラゴンズトライアングルの最南端にあるので普通は中々到達できないので捕虜の脱出も不可能。
原作では苛烈な扱いに耐えきれなくなったモブの捕虜が逃げ出そうとしてブキミーダの手下に追いかけられてバンザイクリフをする事になった。
幸い今のこの時間軸ではバルガル将軍も俺もミザーリンも、誰もが捕虜に虐待をしようとはしていない。
――だが問題はダンダルと新司令官のアクラデスだ。
彼女達が捕虜に対して苛烈な扱いを命じるようだとせっかくの今までの地球人との友好的な関係がぶち壊しになる可能性がある。
それを避ける為にもダンダル軍務卿とアクラデス執政官に俺が信用されるようにしなければ。
さて、ダンダルが食べ物の匂いにつられて歓迎会のパーティー会場に向かったようだが、何か嫌な予感がする……。
俺は大浴場から歓迎会の行われている大広間の会場に向かった。
「えーい、つまらんッ! もっと面白い見世物はないのかッ!」
どうやらダンダルが不機嫌に肉にかぶり付きながら叫んでいるようだ。




