第二十五話 巨大獣ジャミジャミ シャールケンの出撃 11
――よしっ! 今だ、このタイミングで巨大獣ジャミジャミを突っ込ませて被害担当にさせる事でガッダイン5とグレートシャールケンの対決を痛み分けにするんだ!
「行けっ! 巨大獣ジャミジャミ!」
「グッギャアアオオウン!」
巨大獣ジャミジャミが機動要塞ドグローンから発進した。
よし、このタイミングでデビル回路発動、このスピードなら丁度二つのロボの間に挟まる事になる、すまない……巨大獣ジャミジャミよ。
だがっ! 展開は俺の想像した流れと大きく変わってしまった!
「ぬ、何だ!? 何故バルバルが勝手に?!?」
いきなり二つのロボットの対決を見ていたはずの巨大獣バルバルが動き出し、ガッダイン5とグレートシャールケンの間に飛び込んだ!
「何だ!? これはっ!」
「バルガル、キサマ……血迷ったか!?」
「な、何故だぁぁああああっ!???」
巨大獣バルバルは超電磁スマッシュとファイヤーヘアーの超必殺技を同時に身体に受けてしまい……頭部以外が粉々に砕けてしまった。
「ぐおおおおぉぉぉぉお!」
「キャァアアアアアッ!」
「エリーザァアアアッ!」
一体どうなっているんだ! 巨大獣バルバルが砕け、残った頭部は転がってしまい、エリーザが外に弾き出されてしまった。
そこに姿を現したのは……あれは! ブレイン軍団のプレシオンロボ!?
「ケカカカカカ、よくやってくれた。ウルフ博士」
「ワタシアイツらに恨みが有りマス! これくらいお安い御用デス!」
ま、まさかアレは……三島長官の姿をしたアイツか!
「さあ、そのダバール星人の女を連れてここを引き上げるぞ」
「エ、エリーザ……!」
「エリーザ様ー!」
「エリさーん!!!」
ダメだ、ここにいる全員が既に満身創痍だ、ここは俺の巨大獣ジャミジャミしか戦える奴がいない。
「巨大獣ジャミジャミ! プレシオンロボに攻撃だ!」
「ガギャオオオオン!」
巨大獣ジャミジャミの右の馬の頭から火炎が、左の牛の頭から冷気が放たれた。
だがプレシオンロボには通用せず、ミサイルで返り討ちにされた。
「ジャミジャミィイイイッ!」
しまった、いくら噛ませ用とはいえ、もう少し本編より改造しておくべきだった。
プレシオンロボには三島長官の姿のアイツとウルフ博士が乗っている。
そしてブレイン軍団の小型ロボがエリーザを取り囲み、彼女をプレシオンロボに連れ去ってしまった。
「エリーザ! 待っていろ、オレが助ける!」
「シャールケン……!」
「お前との決着はまたいずれつけてやる、それまで待っていろ!」
シャールケンはエネルギーの尽きかけたグレートシャールケンでプレシオンロボを追いかけた。
「マーヤ、急いでバルガル将軍と巨大獣バルバルの残骸を回収するんだ!」
「了解です、ご主人様!」
まさかこんな想定外の展開になるとは!
シャールケンがエネルギー不足で海に落下する地点が原作と同じだったのが不幸中の幸いというべきか……。
ダメだ、今これ以上この場所に居ても状況が好転するわけでは無い。
こうなったらミザーリンに頼んでどうにか防衛軍に捕らえられたエリーザ様を救い出してもらわないと。
ガッダインチームは今何が起こっているのかまるで分かっていないようで、どうすればいいのか戸惑っている。
「龍也さん、今はとにかく戻りましょう。いくら三島長官がエリーザさんを捕らえたと言っても代々木博士が世界に向かって状況を話してくれれば彼女がスパイでは無い事を伝える事が出来ます。今この状態ではガッダイン5が動けるのも基地に戻るだけで精一杯です」
「竹千代……くそっ! 何がどうなってるんだよ!」
ガッダインチームは気持ちがモヤモヤしたまま全員で北原未来要塞ベースに帰還した。
――まさかこんな展開になるとは!
こうなったら新司令官アクラデスに協力してもらえるように信頼関係を作るしかないか……。
とにかく俺達はバルガル将軍を連れて一旦奇岩島基地に帰還しよう。




