第二十五話 巨大獣ジャミジャミ シャールケンの出撃 9
「そんな、エリさんが……ダバール星人だなんて」
「……龍也サン」
「エリさん、ウソだろ。ウソだと言ってくれ!」
残念だが龍也、コレは変えようのない事実だ。
しかしエリーザ様がカミングアウトしようとしたはずの事をまさかバルガル将軍がバラすとは……。
でもこれが反対に良かったのかもしれないと考えるしかないか。
もしエリーザ様自らバラしていたとしても奇岩島基地に戻る方法が難しかったわけで、護衛のはずのミザーリンは今北原未来要塞ベースにいる。
そう考えるとバルガル将軍の巨大獣バルバルの強さならそう簡単に撃墜されず安全に奇岩島基地に戻る事は可能。
まあ懸念するべき点はガッダイン5対グレートシャールケンの戦いがどうなるかと言ったところだ。
そう考えていたのだが、三角島に思ったよりも早くグレートシャールケンが到着してしまった。
「バルガル将軍、一体何だこの有様は??」
「お、おおぉ。そのお声、間違いなくシャールケン様。ですが何故ここに?」
「ブキミーダからエリーザが日本に向かったと聞いてな、そちがエリーザを出迎えてくれたわけか、よくやった!」
「お兄様……」
あーあ、ここでシャールケンとエリーザが兄妹って龍也にバレちゃったよ、もう知らん。
こうなったらなるようになれ! 俺の管轄外だ。
「そんな、エリさん……いや、ダバール星人エリーザ。オレを、弄んでいたというのかよっ!」
「龍也さんっ……」
「フッ、女心と秋の空……か」
「龍也どん、ダバール星人が全部悪とは限らんですたい!」
何だかガッダインチームの中も不穏な空気になっているぞ。
もう話の展開がややこしくなりすぎて俺どうすればいいやら、もう知らんから当事者達に動いてもらう事にしよう。
下手にここで俺が手を出した方が新たな死亡フラグになりかねない。
「貴様、余の妹をたぶらかした地球人か、まさかそれがガッダイン5のパイロットだとはな!」
「うるせー! オレは今猛烈にムシャクシャしてるんだよ!」
「達也……サン、ごめんなさい……」
エリーザ様が泣きそうな声で龍也に謝っている。
「余の妹を泣かすとは、キサマ、絶対に許さん! 勝負だ!」
「望むところだ! テメーがダバール星人の親玉かよ!」
「余の名はシャールケン。そう、戦士……シャールケンだ!!」
「そうかよっ! オレは紅井龍也だ!」
ここで提督と名乗らないのが彼のプライドなのだろう。
これが肩書にこだわるような奴なら立場を追われれても元の肩書をわざわざ呼称するようなもんだ。
だが、シャールケンは辞した提督の地位の事は言わず、あえて自身を一介の戦士として名乗った。
「シャールケン! 勝負だ」
「来い! ガッダイン5 アカイタツヤ!」
三角島を舞台に二体の巨大ロボット同士の戦いが始まった。
「バルガル、よいか。決して手を出すではないぞ!」
「はっ! シャールケン様」
これで文字通りの一騎打ちだ。
さて、この対決の一番いいタイミングで巨大獣ジャミジャミの横やりを入れるようにオレは島の反対側に全員に気付かれないように機動要塞ドグローンで移動しておこう。
ガッダイン5とグレートシャールケンが三角島の上で向かい合っている。
巨大獣バルバルに乗ったバルガル将軍とエリーザ様は立会人といった立ち位置で攻撃の当たらない場所に離れながら二体の対決が始まるのを見守っている。
「行くぞ! タツヤっ!」
「来いっシャールケン!」
グレートシャールケンがマルスニウム製のシャールケンソードでガッダイン5を斬りつけた!
それをガッダイン5は分離状態のNランサーとSランサーで受け止める!
「なかなかやるではないか! そうでなくては面白くない!」
「へっ、負け惜しみをっ……次はこっちの番だ、メタルダート!」
「っ小賢しいわっ!」
グレートシャールケンはその巨体に見合わぬ素早い動きでメタルダートを切り払った。




