第二十五話 巨大獣ジャミジャミ シャールケンの出撃 7
北原未来要塞ベースに到着したミザーリンとエリーザ様はどうにか龍也達と話が出来ているようだ。
おタケさんの料理をみんなで楽しんでから、みんなでトランプなんてやっている。
その後はみんなでバラエティ番組をロビーの大型テレビで見ている。
何というかシェアハウスというかキャンプや合宿にでも来ている学生のようなノリだ。
若いっていいもんだな。
……ってこんなジジイみたいなことを言っててどうするんだ!
あのケン坊の三島長官、ちゃっかりと少年時代楽しんでいるが、まあ彼の青春時代があの第二次世界大戦や子供の頃が関東大震災だったとするならあの楽しみ方も仕方ないな。
まあそれはそれとして、本題は龍也とエリーザ様を二人きりにする事だ、その上で彼女にダバール星人だという事をカミングアウトさせようではないか。
お、良い感じに二人きりになれたものだな……そういえば今日はバルガル将軍の姿が見えないがどこに行ったのやら……。
よし、ミザーリンが龍也とエリーザ様を以前告白しようとして失敗した洞窟に誘い出す事に成功したようだ。
「龍也サン……実は、私、貴方に隠していた事があるのです」
「エリさん……一体どうしたんだよ、そんなに改まってさ。久々に会えたんだし、もっと楽しもうぜ」
「実は……実は私……」
「やややっ! アレは、エリーザ様! エリーザ様ではございませんか!」
ここで想定外の事態になるとは!
何故バルガル将軍がここに!?
「テ、テメェ、バルガル将軍! エリさんから手を離せ!」
「キサマこそ何を言うか! この不届き者が!」
「何だと!」
オイオイオイオイ、何でそこにバルガル将軍がいるんだよ!?
「吾輩、この要塞には何か秘密がある事を以前確信したのでこの辺りを調べておったのだ。そうしたらキサマらがいたというわけだ!」
「龍也サン、龍也サーン!!」
バルガル将軍はエリーザ様を抱え上げると洞窟の外に向かって歩き出した。
「さあ、エリーザ様、お戻りになられませ」
「離して、離しなさい、バルガルッ!」
「残念ですがそうはいきません、さあ帰還しますよ」
一体どうなるんだよ!
計画がメチャクチャだよ、こうなったらミザーリンに連絡しなくては!
「えっ!? バルガルッ!? 一体どうなっているのよ?」
「キサマはいつぞやの防衛軍の女士官か、どけっ!」
「キャアッ!」
ミザーリンはバルガル将軍に弾き飛ばされ、その場で壁にぶつかってしまった。
「渚さん、大丈夫ですか?」
「ええ、こちらは……それより早くあの子を取り返さないと……」
「エリさーん!」
バルガル将軍は巨大獣バルバルにエリーザを乗せ、そのまま奇岩島基地に帰還しようとした。
「くそっ! ガッダイン5で追いかけてやる!」
龍也は洞窟を出るとガッダインチーム全員に声をかけ、巨大獣バルバルを追いかけた。
――マズいマズいマズい、コレどうなるんだよ……!?
「ブキミーダ、マズいとは一体何の事だ……?」
「え? その声は……シャールケン様!?」
「そうだ、余がシャールケンだ」
あら、ずいぶんとお早いお帰りで……。
「火星から戻ってみたが出迎えどころか誰もいなかったのでな、お前がここにいると兵士に聞いてここに来たわけだ。答えろ、一体何がどうなっておるのだ? 何故エリーザがバルガル将軍の巨大獣に乗っていてガッダインが追いかけている?」
これマジでどう説明すれば良いのよ……。
マジで詰んだ。
「エ、エリーザ様は基地司令代行として前線の確認に出てガッダインチームの紅井龍也と敵と知らずに接触してしまったのです、それをバルガル将軍が連れ戻したという事でして……」
もう隠しも何も無しに事実をそのまま伝えた方がまだマシだ。
「愚か者! どういう事だ」
「も。申し訳ございません!」
「もうよい、余が自ら出る、すぐにグレートシャールケンの準備をしろ」
マジでマズい展開になってきた……。




