第二十五話 巨大獣ジャミジャミ シャールケンの出撃 6
さて、この巨大獣格納庫も見慣れたものになってきた。
元々デラヤ・ヴァイデスで俺は巨大獣を作っていたが、この地球上の奇岩島基地での巨大獣制作も慣れたものになってきたな。
まあ万能生成器は金属でも加工可能な3Dプリンターみたいなモノなので、以前一度作った事のあるような巨大獣なら再生可能だ。
いうならば鬼面ライダーの再生怪人軍団みたいなものか。
だがヒーローものの定番で言われるのが、――再生怪人は弱い――という事だ。
まあこれは実際弱いというよりは、ヒーローが一度苦戦して倒した相手なら、その弱点を知っているのでそこを攻めれば二戦目では負けないという事から来ているのだろう。
本音としては再生巨大獣軍団に使う素材をラゲンツォ(仮)に使った方がよほど有意義だとは言えるが……。
――実際旧日本軍の予算配分的な話では、戦艦大和を作る際に軍部は予算を海外に算定されない為に中型戦艦二隻、駆逐艦三隻、潜水艦二隻の架空艦を作る名目で作ったそうだが、俺のこのラゲンツォ(仮)も再生巨大獣軍団の予算をちょろまかせば作れるのではないのだろうか……。
どうせ作ってもガッダイン5に負けるだけだし……いかんいかん、エンジニアが自分の作ったモノを卑下するのは止した方がいいな。
とにかく今は巨大獣ジャミジャミを作らないと。
さて、いつものガッダイン5大百科の巨大獣図鑑によると……。
巨大獣ジャミジャミ
全長58メートル、重量1600トン
双頭の巨大獣で馬と牛のような頭を持つ。
馬のような頭から火炎を、牛のような頭から冷気を発射する。
全体的に大柄な巨大獣でガッダイン5を倒す為にブキミーダが作った。
それはシャールケンの乗るグレートシャールケンより、自身が作った巨大獣の方が強いとアピールする為だった。
ガッダイン5とグレートシャールケンの一対一の無人島での対決に横やりを入れる形で現れ、タイミング悪く超電磁スマッシュとファイヤーヘアーの二つの必殺技を同時に喰らい、大爆発した。
――なんというか、運が悪いというより、空気読めずに乱入して自滅したバカとしか言えない。
だが今回はあえてそのバカを踏襲する必要があるのだ。
グレートシャールケンのエネルギーを全部使ったファイヤーヘアーをガッダイン5が受けると間違いなくガッダイン5が負ける。
そうなると話が成り立たなくなり、地球が負ける事になってしまう。
そうなれば俺の死亡フラグは消えるかもしれないが、もし仮にあの三島長官の姿のアイツがいるなら、一体何をしでかすかわからない。
下手すれば自らの命惜しさに地球人を大量虐殺して自身は忠実なデスカンダル皇帝の僕だとアピールしかねない。
マジでアイツはそういうことを平気でやらかす奴だ。
だから地球が負けるという選択肢は何が何でも選ぶわけにはいかない。
しかし下手に地球が勝ってしまう流れを作ると、今度は俺があの三島長官の姿のアイツに証拠隠滅で悪事の大半を押し付けられた上での処刑が待っているだろう。
冗談じゃない! 何で俺があんなヤツの為に濡れ衣で処刑されなければいけないんだ!
――そう考えると、原作の流れを生かしつつ、地球とダバール星の戦争の平和的解決、これ以外の選択肢は選びようがないわけだ。
だから原作の話の流れを守りつつ、シャールケンを一旦戦場から離脱させるためにはこの巨大獣ジャミジャミによる横やりが必要になると言える。
さて、それを踏まえた上で巨大獣ジャミジャミの制作の続きに取り掛かりますか。
そして巨大獣ジャミジャミが完成したのは次の日の夜だった。
さて、そろそろ日本に到着したミザーリンやエリーザ様が龍也達と接触する頃だろう。
さあ、話の流れはどうなっているのかな?
俺は北原未来要塞ベースに潜入させた昆虫型スパイドローンで辺りの様子を探る事にした。




