第二十五話 巨大獣ジャミジャミ シャールケンの出撃 5
「ミザーリン、聞こえるか?」
「はい、ブキミーダ様、どうされましたか?」
「実は頼みたい事があるんだ」
ミザーリンは俺の言う事を聞いてくれる。
本編では反対だったのにこの半年で大きく立場が変わったものだ。
まあ俺は別にミザーリンをこき使う気は全くなく、地球とダバール星の戦争を止めさせる、犠牲者を最低限の数にするために頼んでいるので彼女も無茶ぶりされているとは思っていないようだ。
「頼みたい事? 一体何かしら?」
「実はエリーザ様が日本に行きたいそうなんだ、その護衛を頼めるかと」
「わかりましたわ、またあのクリームで地球人のフリをさせてほしいのね」
ミザーリンは俺が何をしてほしいのかをきちんと把握してくれている。
だが今回はそれだけでは無いのだ。
「ああ、だが今回はそれだけではないんだ……」
「え? それだけでは無いって?」
「そうだ、エリーザ様をガッダイン5のパイロット紅井龍也に会わせてほしい。その上でダバール星人だという事を伝えさせたいんだ」
コレは流石に俺も無茶ぶりをしていると分かるが、もう時間も無い。
「わかったわ。貴方のやる事はきちんと意味があるってわかるから、今回の事もそうなんでしょ。キレーダさん、地球人と幸せになれると良いわね」
「知っていたのか、流石諜報官だな」
ミザーリンがニッコリと笑った。
「ええ、何なら貴方の昨日の食事、一昨日の食事も当てて見せますわよ」
それ勘弁してください、ただのストーカーです……。
「冗談ですわ。それで、エリーザ様をガッダイン5のパイロットに会わせて時間を作ればいいのですわね」
「ああ頼む、出来るだけ……シャールケン様が戻る前に帰還できるように頼みたい」
「え? シャールケン様がご帰還なさるのですか?? それは初耳ですわ」
まあこれは軍でもトップシークレットというよりは、いきなりの展開で本編では誰も知らずに驚いた事だ。
むしろ本編ではミザーリンが火星からの帰還用の燃料を用意していたが、今回はそれを俺が代わりにやっていたのでそりゃあミザーリンも初耳だろう。
「ああ、シャールケン様が戻ってくる前に日本に行ってそれから戻ってきてほしい。だから素早く動けるミザーリンにエリーザ様の事をお願いしたいってわけなんだ」
「わかりましたわ。わたくしがエリーザ様の護衛、きちんと務めて見せますわ」
「頼む、一応他の連中には現場指揮官が現地を見ておかなければ作戦が立てられないからだという風に伝えておく」
さて、これでどうにか計画は進みそうだ。
ミザーリンに日本にエリーザ様を連れて行ってもらっている間に、俺は巨大獣ジャミジャミを作っておこう。
エリーザ様が戻り次第、いや最悪の場合はエリーザ様を護衛する為にという形で巨大獣ジャミジャミを出撃させればいい。
その為にはさっさと巨大獣制作に取り掛かる必要があるな。
そこでテレビアニメの――超鉄ボーグ――を見ているマーヤちゃん、そろそろお仕事ですよ。
「いーまに見ていろドグウ魔人、全滅っだ♪」
はいはい、わかりましたわかりました。
あの作品、エンディングで走ってくる変なドグウ魔人がかなりインパクト強くて見る度にゲラゲラ笑っていたような覚えがある。
そして何故かオープニングとエンディングがメチャクチャ長くてフルコーラスだったな。
――まあそれはどうでもいいから、それ見終わったら作業開始するよ。
さて、巨大獣ジャミジャミだが……今回の奴は二つの必殺技の被害担当ということになる。
ガッダイン5の超電磁スマッシュとグレートシャールケンのファイヤーヘアーの二つを同時に受けてすぐに爆発しないだけの強靭さが必要だと言えるだろう。
そう考えると、本編スペックよりも守備力を上げておく必要があるな。
さて、どう作ったもんだか……。




