第二十五話 巨大獣ジャミジャミ シャールケンの出撃 3
まあシャールケンが三十七話で出てくるのは前作の王者エメラインのプリンスウォーゼンの退場に対する反省だろう。
実際プリンスウォーゼンが前半で退場する事になった――ウォーゼン妖魔の戦い!――の話でプリンスウォーゼンが巨大化してエメラインと戦った時、ウォーゼンを殺した事で浜野監督の元には大量の匿名のカミソリレターが届いたと聞く。
まあ王者エメラインのメインターゲットは子供向け作品だったはずだが、――天空のイカロス――以降増えたアニメファンのお姉さま方がプリンスウォーゼン目当てに見るようになったとも言われている。
そのウォーゼンを物語の中で死なせた事で前半のオカルト路線と後半のロマン路線といった監督交代劇があったのだが、このガッダイン5では一度退場させたシャールケンを再度登場させる事でお姉さま方のファンを納得させたはず……だった。
だが結局は物語の最後でシャールケンを死なせてしまう事には変わりなく、結局カミソリレターが届くのは避けられなかったらしい。
この事はガッダイン5大百科の監督インタビューの中で書かれていた。
多分【ロボットシミュレーションゲーム】の製作スタッフにシャールケンのファンがいたのだろう、だから作品によってはシャールケンを説得して仲間にする事が可能な物もあったわけだ。
――まあ俺の生存フラグに必要なのがそのシャールケン生存ルートなので、ここでガッダイン5とシャールケンをガチで戦わせるのは避けた方が良さそうだ。
その上で不自然ではないように巨大獣ジャミジャミを犠牲にしてでもグレートシャールケンのエネルギーを使わせて痛み分けに持ち込む必要がある。
だが下手に出しゃばったと見られても悪印象なのでここはあえて三島の姿のアイツを利用させてもらおうじゃないか。
策士策に溺れる、原作を再現しようとするならアイツは間違いなく巨大獣ジャミジャミの主導権を奪ってこようとするだろう。
それで一旦主導権を奪わせてガッダイン5とグレートシャールケンの戦いが決着つきそうな寸前にデビル回路で暴走させたジャミジャミで乱入して二つの必殺技を不発にさせる。
まあ一度三島の姿のアイツに主導権を奪わせた後なら、俺が疑われる事も無いだろう。
ここで一旦退くグレートシャールケンだが、その際にエネルギー切れで海中に落下する。
まあ今でこそ水落ちは生存フラグと言われているが、この当時は生きているか死んでいるか半々と言ったところだった。
まあシャールケンがここで退場する事に意味を持たせたのは浜野監督と富浜監督の間で話し合った結果らしい。
だから痛み分けの後に海中落下での行方不明という話の流れになったのだ。
まあ俺はその後の展開を知っているが、他の奴らにはそれを下手に伝えない方が良いだろう。
下手にこれを伝えると俺が疑われてしまう。
また、新しい司令官が到着するのがその次の話なので下手にシャールケンに構っている時間が無いというのも下手な事を言わない理由だ。
――まあ多分シャールケンが生きているだろうという希望だけは与えておこう。
そうでなければ地球人をシャールケンの仇だと見て話がややこしい事になってしまう。
その為の発信機は付けておくとするか。
三十七話まで彼がどこにいるのかは俺が知っているので発信機の場所を偽造する事は可能だ。
だがその場所は、下手に巨大獣や機動要塞ドグローン等で向かおうと思っても難しい場所だ。
下手すれば本当に二重遭難になりかねない……ドラゴンズトライアングル内にある島だからだ。
まあ命に別条が無い事だけは保証できる。
何故なら俺が原作でその話まで流れを全部把握しているからだ。
だが本放送当時、この展開はかなり驚かれる事になって、実際子供だった俺もかなり驚いたものだ。




