第二十五話 巨大獣ジャミジャミ シャールケンの出撃 1
巨大獣グルルガを激戦の末倒したガッダイン5だったが、玄太郎の体力は限界を超えていた。
「やった…ですた……ぃ」
「玄太郎!」
だが返事は無かった、玄太郎は最後の力を振り絞りその場に倒れてしまった。
「このまま基地に戻るぞ、分離しても玄太郎が操縦できないからな」
「ああ。わかった」
龍也がガッダイン5を操縦し、相模湾の北原未来要塞ベースに向かった。
ガッダイン5の最高飛行速度はマッハ12、この速さならすぐにでも北原未来要塞ベースに到着出来る。
――しかし、設定ではこんなに早く空を飛べるはずなのに、ロボットシミュレーションゲームでは何故か加速スキルを使わないとドンガメ扱いされたのは、やはりゲームの仕様でリアル系の素早さをアピールする為なのだろうか……。
まあそんな事はゲーム制作班が考える事なので、俺は結局そのチームには配属されずに現実のロボット制作班に回されたからな。
さらばラゲンツォ(仮)
そんなこんなを考えている間に、ガッダイン5は相模湾に到着し、北原未来要塞ベースに到着した。
玄太郎が担架に乗せられ、集中治療室に担ぎ込まれた。
先日はキレーダが治療を受けた場所に自身が担ぎ込まれるとは、ある意味皮肉としか言えないな。
しかしこの集中治療室、マジで昆虫型スパイドローンで入り込むのも一苦労な場所だ。
流石は無菌室の完全シャットアウトと言えるだろう。
玄太郎は点滴を打たれ、とにかく風邪がこれ以上悪化して肺炎にならないように処置された。
その甲斐あってか、数日もすると玄太郎はどうにか起きあがれるようになったようだ。
「う……ここは?」
「よう、気が付いたか玄太郎」
「玄太郎くんっ」
ガッダインチームのみんなが花を用意してくれていた。
「すまんですたい、オイのせいで……」
「そんな事ないぜ、お前がいなきゃあの巨大獣には勝てなかったんだからな」
「流どん……」
この半年近い死闘の中で、ガッダインチームの友情の絆は固く結びついているようだ。
そう言えばもうこの話が始まって半年くらい経つんだな。
思えば色々あったもんだ、地球人側も、俺の今いるダバール星人側も……。
まあ三島防衛長官の姿になっている厄介なアイツがいる以外は、この話で誰一人不幸になっていない。
この流れなら俺の処刑フラグもようやく避けられた……はずだったんだがな。
――しかしまさか現場での処刑フラグは避けられたものの、まさかのダバール星本星で新たな処刑フラグが立ってしまうとは……お釈迦様でも思うまい。
とにかく今は俺の味方を増やさなくては。
原作の流れではそろそろ火星からシャールケンがマルスニウムを持って戻ってくる頃だろう。
本編では奇岩島基地に帰還したシャールケンを、バルガル将軍やミザーリンは様付けして呼んでいたが、ブキミーダは呼び捨てにしていた。
それはシャールケンが出世街道から外れたと決めつけたブキミーダが今までの立場が無くなったシャールケンを馬鹿にする為だ。
こんな事をしていたから原作のブキミーダは誰にも慕われなかったんだよな。
だが、今の俺はアイツとは違う、それに……シャールケンはここで一度退場するが、番組後半で再び現れるのを俺は知っている、それは三十七話だ。
それまでにシャールケンの信頼を勝ち取っておく必要が俺にはあるという事だ。
彼は後半、意外な形で再登場する事になる。
まあ今は一旦退場する事になるが、その前に派手に大暴れするのでその手助けをしてやろうじゃないか。
そうそう、この話で初めてシャールケンの専用巨大ロボ――グレートシャールケン――が姿を見せる。
アレはロボットシミュレーションゲーム最強の敵ロボの一体で、王者キャリバイザーのダイナボスと同じくらい倒すのが厄介なボスユニットだった。