第二十四話 巨大獣グルルガ 超電磁プロペラ破れたり 8
三島長官の姿のアイツは俺から巨大獣の主導権を奪えたと思い込んでいるようだ。
どうせその後結局暴走したとして手下のはずの防衛隊員を虐殺させた上でダバール星人のせいに押し付けようと考えているのだろう。
今のアイツはダバール星人にとっても、地球人にとっても許し難い悪だ。
巨大獣グルルガの動きが一旦止まった。
アイツが暴走に見せかけて虐殺を開始しようとしているようだ。
「デビル回路改発動!」
俺が改造デビル回路を発動させた。
巨大獣のAIはこの後発売されるゲーム機、――ファミリードライブ――よりは高性能のはず。
なお、この宣玩堂ファミリードライブの性能は米国の月面ロケットと同性能のコンピューターだと昔聞いた事がある。
それが低性能での命がけで月面に行ったのか、それとも高性能で安心の上で行けたのかは当時の技術者で無ければ分かるまい。
……まあ、ようは学習型AIとしては及第点、ステゴサウルス以上犬猫未満、子供でいえば幼児レベルの知能と言ったところか。
俺がデビル回路を発動させたことで、巨大獣グルルガは妙な踊りを始めた。
防衛隊員は唖然としている。
まあ命が助かっただけマシと思って欲しいもんだ。
そんな風にしている間にダインマシンが到着した。
前回の失態でバツの悪い三島長官の姿のアイツは用事があると言ってさっさと逃げだしたようだ。
アイツ、マジで本編と同じで逃げ足だけは早いな。
「やいやいやい、巨大獣! 何妙な踊りをしてるんだ!」
「龍也さん、アレは何かの作戦かも知れません。あの踊りで戦闘力を上げているとか……」
竹千代君、それ半分正解で半分不正解だわ。
改造型デビル回路での戦闘力強化は正解だが、制御を奪い返したアピールの踊りだとはアイツ以外誰もわかるまい。
「みんなっ、玄太郎くんがしんどそうだから早く終わらせちゃいましょうっ」
「千草……さん、すまないです……たい」
あらあら、玄太郎の不調は原作通りかい。
まあ、原作と違い、巨大獣による回転ノコギリ虐殺ショーは無かったからここからは無人の銀座でのロボットプロレス開始ってだけだが。
今回のヒールロボレスラーと言えるのが回転ノコギリを装備した巨大獣グルルガ、ベビーフェイスの正義の味方がガッダイン5と言ったところか。
「みんな、さっさと決着付けるぞ! 行くぜっ」
「「「「「レッツ、ガッダイィーン!」」」」」
合体シーンが終わってガッダイン5登場です! さあこの後どのようなバトルを見せてくれるか。
「超電磁! プロペラァ―!」
原作通りに超電磁プロペラを放ったガッダイン5、だが回転ノコギリの前に全部切り払われた。
「にゃろぉー! 味なマネしやがって! それじゃあこれでどうだ! 超電磁ワイヤァー!」
ガッダイン5の両腕からアンカー付きワイヤーが放たれるも、やはり回転ノコギリで切り裂かれてしまう。
「龍也、おれに任せろ! メタルダート!」
流が小型の矢を大量に放つが、それも同じように回転ノコギリで弾かれた。
「くそっ、それじゃあビッグミサイルだ、喰らいなっ!」
ビッグミサイルが発射されたが、これまた回転ノコギリの餌食になり、爆発前に輪切りにされてしまった。
「無理ですたい……アレは、懐に飛び込まないと……」
「玄太郎、無理するな! お前体調万全じゃないだろ」
「ですが、オイの投げ技以外でアイツを倒すのは……無理ですたい!」
玄太郎が脂汗を流しながら巨大獣を挑発した。
「さあ来るですたい! 勝負でごわす」
「グギャアアアアッ!」
どうやら幼児並みのAI知能は挑発に弱いようだ。
玄太郎の挑発に乗った巨大獣グルルガは待ち構えていればいいのにわざわざ自ら攻撃に出た。
「今ですたい! 冷凍……地獄車ですたいっ!!」
「ギャッがアアァアアッ!」
ガッダイン5の左腕から冷気が発射され、グルルガが凍り付く。
そのグルルガの両手を握ったガッダイン5は地獄車で両腕を破壊した。
「超、電磁……スマアァアアッシュですたいぃい!!」
「グルルガァア!」
巨大獣グルルガは超電磁スマッシュを喰らい、大爆発を起こした。