第二十四話 巨大獣グルルガ 超電磁プロペラ破れたり 6
困った困った、マジで困った……。
俺はいま非常にヤバい状態になっている。
よりによって社交界の華である妻のウルワシアに敵対されてしまっては、マジでダバール星本星の裏切者扱いされて、処刑されかねない。
デスカンダル皇帝は冷徹な人間だ。
いくら普段皇帝の腰ぎんちゃくをやっていたブキミーダだったとしても、自らの損になると思えば平気で処刑の命令を出すだろう。
そう考えるとダバール星本星にはブキミーダの味方は誰一人としていないのだ……。
まあそれだけ彼が俺と入れ替わる前にどれだけの悪行を繰り返してきたのか、という事でもある。
特に社交界の華であったウルワシア公爵令嬢をデスカンダル皇帝の圧力で自らの物にした事は、ダバール星貴族王侯の中でも最大の反感を買ったと言えるだろう。
そりゃあそのウルワシアが発起人になれば反皇帝、反ブキミーダで巨大同盟が作られてもおかしくはない。
――マジでマズい展開だ!
コレをどうにか切り抜ける為には、俺は現地、つまり地球にいる前線の全員を味方に付けなくてはいけない。
幸いバルガル将軍は俺を信頼してくれている。
また、ミザーリンは本当の意味で地球とのスパイをやってくれているので、戦闘前に避難を呼びかける事で人的被害を最小限に抑える活躍を見せてくれている。
シャールケンは今火星に島流しになっているとはいえ、戻ってくることは確定だ。
その為の布石は彼の宇宙船に俺が仕込んでおいた。
後俺が味方にするべきは……ダンダル軍務卿と新司令官になるアクラデス執政官の二人だ。
まあ俺は原作を見ていないと分からないアクラデス執政官の秘密を知っているので、それを脅しに使うわけでは無いが、彼(?)の力になる事で信頼してもらえばいいか。
ダンダル軍務卿も味方にしておいて損はない。
何故なら人には言えないが、アクラデスは弟のダンダルの事を誰よりも大事にしているからだ。
そのダンダルを味方にする事で俺の立ち位置を確保する。
それでどうにかダバール星本星での処刑フラグを回避できるようにしなくては……。
でもいつかはウルワシアにキレーダと玄太郎の子供を見せる時が来るとは思うんだが、それまでに双方の星が平和になって戦争が終わるようにしなくては。
戦争が終わった後ならウルワシアもキレーダと玄太郎の子供を認める事も出来るだろう。
さて、その為にも俺は俺の出来る事をするだけだ。
ガッダイン5大百科の巨大獣図鑑によると……。
――巨大獣グルルガ――
全長49メートル、重量1700トン
両腕に丸い巨大回転ノコギリを装備した巨大獣で、その巨大な回転ノコギリで破壊活動を行う。
銀座周辺に出没し、平河町の巨大時計台等をそのノコギリでずたずたに切り裂いた。
また、逃げ惑う人間をその巨大ノコギリで切り刻み、血の海を作った。
ガッダイン5が到着し、その巨大ノコギリ目掛けて超電磁プロペラを放つが、回転ノコギリで切り刻まれてしまう。
その後近距離攻撃ではらちが明かないと考えたガッダインチームは遠距離攻撃でマグネティックアローや超電磁ワイヤー等で攻撃するが、それも全部回転ノコギリで切り刻まれてしまう。
必殺武器ビッグミサイルを放つも、これも到着前にぶった切られ、遠距離でも近距離でも歯が立たない。
そんな中、体調が万全ではない玄太郎が、――オイがアイツをやっつけるですたい!……だからアイツを呼び寄せてくれ。――と言ってどうにか接近戦に持ち込み、柔道技で両腕の回転ノコギリを破壊。
両腕の武器を失った巨大獣グルルガ目掛け、超電磁ストームを放ち、超電磁スマッシュで破壊した。
――とまあ、とにかく物騒な巨大獣で両手の回転ノコギリ攻撃がマジでグロ注意な奴だった。
まあその武器を変更するわけにもいかないので、銀座で暴れるのはそのままにしておいても、ミザーリンに先に住民を避難させるように頼んでおくか。
さあ、完成したら出撃だな。