第二十三話 巨大獣ミラミガ 反射攻撃の罠 10
「うガァアアアアアッ! ギャアアアアアーッ!」
「う、撃て、撃てー!」
巨大獣ミラミガ目掛け、防衛軍の戦車や飛行機の砲弾、ミサイルなどが撃たれた。
だが、ミラミガはそれらの武器を全て跳ね返し、戦車や飛行機は返り討ちにあってしまった。
「えーい、食い止めろ、殺せ、殺してしまえぇー!」
三島長官の姿のアイツが叫んでいる。
どうやら証拠隠滅がしたいのだろう。
だが防衛軍の兵器は巨大獣ミラミガの前に全く歯が立たなかった。
「長官、新兵器のフォトンレーザーを使います!」
「バ、バカッ‼ 止めろぉー!」
「フォトンレーザー発射!」
だがフォトンレーザーはミラミガの鏡面加工の表面に当たり、反射して新兵器フォトンレーザーの砲身をドロドロに溶かしてしまった、
「だから止めろと言ったのだ。あの巨大獣にはレーザー系は効かないのだ、愚か者が!」
そんなもん初見の防衛隊員が分かるわけないだろうに、本当にアイツは最低最悪の上司だな。
そんなこんなで防衛隊が暴走するキレーダと巨大獣ミラミガに翻弄されているところに合体完了したガッダイン5が到着した。
「やいやい、巨大獣、よくも好き放題暴れてくれたな! オレ達がやっつけてやるぜ!」
「――グ……グガァアアアアッ!」
「こ、この声は、キレーダさん!?」
「ギャアアアーッ!」
キレーダは半狂乱のまま巨大獣ミラミガの手足を伸ばして攻撃を仕掛けてきた。
「ぐわぁあっ!」
「キャアアッ!」
ガッダイン5がミラミガの伸縮自在のパンチやキックに翻弄されている。
「クソッ! マグネティックランサー!」
SランサーとNランサーが合体し、巨大なランサーになりガッダイン5がそれを振りまわした。
その攻撃は確実にミラミガの胴体に直撃した……が、貫く事はできず、ゴム状の身体は刺さったはずのマグネティックランサーを跳ね返した。
「ぐがぁあっ!」
「こうなったらマグネティックアローだ! 喰らいなっ」
流がマグネティックアローの磁石を飛ばしたが、磁石はミラミガにくっつかずその場に落ちた。
どうやら超弾性金属ミラニウムは磁力無視の金属で出来ているらしい。
「こうなったら、超電磁スマッシュで!」
「龍也どん、それは止めて下さいたいっ!」
「玄太郎、お前……」
「あの子は、好きで暴れているわけでは無いですたい。だから、だから……」
攻撃をやめたガッダイン5目掛け、ミラミガの鋭い伸縮キックが炸裂した。
「ぐわあああっ!」
「玄太郎、お前の気持ちは分かる。だが……あの子を助けてあげたいなら……これ以上暴れさせないのも優しさじゃないのか、それならせめてお前が……やってやってくれ」
「流どん……」
流の言っているのは確かにシビアだ、だがそれ以外に今の彼女を救える方法はない。
これは下手をすれば原作以上の悲劇が待っているかもしれない。
原作ではガッダインチームは巨大獣ミラミガに乗っているのがキレーダだと知らないまま倒す事になった。
だが、今はその機体に乗っているのが玄太郎の淡い恋心を抱いた相手であるキレーダだと分かった状態でとどめを刺すしかない状態なのだ。
「酷な事だが、それ以外に彼女を助ける方法は無い」
「お前達、新必殺武器を使ってみるんじゃぞい。両腕に仕込んだファイヤーストームとフリーズストームを合わせる超電磁ストームじゃぞい!」
「博士! 空気を読んでくださいっ! 今、玄太郎君がそれどころじゃないんですっ!」
ガッダインチームは暴走するキレーダと巨大獣ミラミガを倒す為に厳しい選択を選ばざるを得なかった。
「キレーダさん、オイ……アンタにリンゴ食べさせてあげたかったたい」
「ウ……ウガァアア……。――リ……ンゴ。ゲン……タ……ロ」
キレーダは何かを話したいのだろうか。
彼女は今の暴走した頭からどうにか言葉を引き出そうとしていた。