第二十三話 巨大獣ミラミガ 反射攻撃の罠 9
困った事になってしまった。
どうやらキレーダは防衛軍に捕まってしまい、三島長官に尋問される事になりそうだ。
それに今の三島長官の中にいるアイツは、下手すれば自分の娘ですら平気で拷問しかねない奴だ。
いや、もっとひどい事に洗脳して自らの手先にすらしかねない。
――これは一大事だ!
俺は早速防衛軍極東司令部に潜入しているミザーリンにタブレット型通信機で連絡を取ってみた。
「ミザーリン、ミザーリン、聞こえるか!?」
「はい、聞こえますわ。ブキミーダ様」
「一大事だ! キレーダが防衛軍に捕まってしまった! このままでは三島長官に拷問されてしまう!」
「!? わ、わかりましたわっ。わたくしが救出すれば良いのですわね」
ミザーリンは俺の言いたい事をすぐに理解してくれた。
「俺も巨大獣ミラミガで極東司令部に攻撃を仕掛け、キレーダを救出する!! ミザーリン、そちらの事は頼んだぞ!」
「わかりましたわっ」
さあ、ボヤボヤしている時間はないぞ。
早くキレーダを救出しなくては。
俺は奇岩島基地から一気に巨大獣ミラミガを出撃させ、急いで日本の防衛軍極東司令部に向かわせた。
巨大獣ミラミガは極東司令部に到着、そしてキレーダの捕まっているであろう場所目指して突き進んだ。
おおよその場所はミザーリンが教えてくれたので助けられるはず……だった。
「キャアアアアアー!」
「長官、敵の女スパイとはいえ……コレは流石に」
「キサマ、ワシに意見するのか? いいからもっと電圧を上げろ、コイツを洗脳して忠実な兵器に作り替えるのだ」
何という事を!!
俺が潜入させたスパイドローンに映っていたのは、三島長官の姿のアイツがキレーダに特殊ヘルメットを被せて拷問している姿だった。
しかもただの拷問ではない、アレは……原作でも見た洗脳用の特殊ヘルメットだ。
原作ではミザーリンの弟が強化ソルジャーにされた際に使われていたが、それと同じ物を三島長官の姿のアイツは作り上げ、キレーダに使っているのだ。
あのヘルメットで洗脳されてしまえば……アイツの思うがままの手先になってしまう。
急がなくては! 巨大獣ミラミガがようやく極東司令部に到着した。
だが、三島長官の姿のアイツは俺の想定外の行動に出てきた。
「来たか巨大獣ミラミガ。ワシの代わりに誰が作ったかは知らんが、その超弾性金属ミラニウムの機体、使わせてもらうぞ!」
なんと、アイツは巨大獣ミラミガの電子頭脳を外部から特殊電波で操り、俺からコントロール権を奪い取ってしまったのだ!
まさか、こんな方法があったとは!
そして運の悪い事は続くもので、洗脳の完了したキレーダは瞳孔の無い表情で三島長官の姿のアイツの前に現れた。
「キレーダ、おはよう」
「……おはようございます。お父さま……」
「そうだ、ワシがお前の父だ。お前はワシの命令通りに動くのだ。いいな」
「はい、お父さま……」
――最悪の展開だ!
キレーダがアイツに洗脳された上、巨大獣ミラミガまで奪われるとは!
「ミザーリン、作戦は失敗だ、一時撤退しろ。そこに居たらお前も危ない」
「ですが、キレーダさんが……あの子はあなたの娘なんでしょ!」
「残念だがもう彼女は洗脳済みだ……このままではお前まで危ない!」
ミザーリンは不本意ながらも撤退する事にしてくれた。
「長官、敵から鹵獲したこのロボット、どうされるのですか?」
「この娘を乗せろ、テスト運用をさせる」
「了解です!」
アイツは洗脳済みのキレーダを巨大獣ミラミガに乗せ、操縦させた。
「長官、何か様子がおかしいです! 脳波コントロール装置……異常感知! レッドゾーンに突入しました!」
「ウ、ウガァアアアアアアアッ!」
洗脳の失敗か、キレーダはいきなり発狂し……そのまま巨大獣ミラミガで暴れ出してしまった!