第二十三話 巨大獣ミラミガ 反射攻撃の罠 7
結局俺が万全に小型飛行機を整備をしても、防衛軍に撃墜されてしまっては原作の流れそのままだ。
キレーダの乗った小型飛行機は原作通りに不時着してしまった。
どうやら玄太郎が山に修行に来ているのも原作通りの流れのようだ。
……仕方ない、こうなったら原作の流れに任せて玄太郎にキレーダを助けてもらおう。
お、玄太郎が沢の近くに落ちた何かに気が付いたみたいだぞ。
「な、何ですたい? コレは?」
玄太郎は不時着した小型飛行機に気が付き、柔道着のままその近くに駆け寄った。
割れたキャノピーの内側からキレーダのシルエットが見える。
玄太郎はこれは一大事だと小型飛行機のキャノピーをこじ開けた。
「な、肌の青い女子? コイツは、宇宙人ですたい!」
玄太郎は原作通りの台詞で驚いている。
「でも、綺麗な人ですたい。お、コレは……コレは一大事ですたい! 怪我してるばってん」
「う……うぅ……」
玄太郎は小型飛行機からキレーダを下ろし、背中におんぶすると下駄ばきのまま走って山を駆け下りた。
「お、玄太郎じゃねーか。山に修行に行ったんじゃなかったかよ?」
「龍也どん、医療室はどこですたい?」
「お、おい。そんなに焦ってどうしたんだよ?」
「今は一大事ですたい、すぐ医療室にこの人を連れて行くたいっ!」
龍也が医療室の方向を指さすと、玄太郎は一目散にそちらを目指して走っていった。
「お、おい。一体何があったんだよ?」
玄太郎の様子がおかしいので龍也は代々木博士たちにそれを伝え、全員が医療室に集まった。
「この人……ダバール星人だわっ」
「綺麗な……人ですね」
「へっ、どうせ敵だろ。それならいっそそのまま放っておけばよかったんだよ」
「流、そんな事言ってる場合じゃねえだろ!」
キレーダはうわ言をいって横になっている。
「ふむ、とりあえず命に別状は無さそうじゃぞい。玄太郎君がすぐに連れて来てくれたからの」
「博士、それでこの人は、どうなっとるんですたい?」
代々木博士がガッダインチームに説明を始めた。
「どうやら彼女はダバール星人で間違いなさそうじゃぞい」
「肌の色以外はほとんど地球人と変わらなそうですね、博士」
「竹千代君、そうじゃな。地球人の薬で特に拒否反応は起きなかったようじゃぞい」
ガッダインチームの全員がベッドに横たわるキレーダを見守っていると、彼女は目を覚ました。
「こ……ここ……は?」
「お嬢さん、気が付かれましたか。ここは北原未来要塞ベース、そして儂はここの責任者代々木博士ですぞい」
「お前達は、地球人っ!」
キレーダは腰に持っていた銃を取り出そうとした。
「おっと、物騒なものは預からせてもらったぞい」
「くっ、殺せ! 生き恥をさらすくらいならいっそ……」
「おいおい、折角助かった命、無駄にするもんじゃないぞい」
「……助けてもらった事、感謝する……」
キレーダは結局そのまま再びベッドでシーツを深くかぶり、寝転んでしまった。
命に別条が無いと分かり、その場には玄太郎だけが残りガッダインチームの全員はそれぞれが自室に戻る事になった。
「お嬢さん、もう大丈夫ですたい。オイはアンタの敵じゃないですたい」
「……だが地球人はわたしたちの敵……それなのになぜ助けた?」
「かーちゃんに言われてますたい、男たるもの、どんな時でも女子は優しくするもんたい。オイはかーちゃんに言われたことを実践しただけですたい」
それを聞いたキレーダは布団に顔を埋めながら目だけは玄太郎の方を見ていた。
「お前は優しいんだな、助けてくれたこと……感謝する。だが、わたしはどうなるんだ? 捕虜にされるのか?」
「アンタは、そのまま寝ていればいいばってん。アンタを連れてきたのはオイだ、何か言われてもオイがアンタを守ってやるたい」
その頃、代々木博士宛にテレビ電話通信が届いていた。