第二十三話 巨大獣ミラミガ 反射攻撃の罠 6
なんだかんだで俺の整備した小型飛行機は何の不具合も無く空を飛べるようになった。
「お父さま、凄いですわ。この飛行機があれば任務を達成できますわ」
キレーダが喜んでいる。
まあ、とりあえず機体の不具合が無ければ北原未来要塞ベースに潜伏する事も可能だろうが、まあ一応原作通りに動いてもらうか。
「キレーダよ、気を付けるんだぞ」
「はい、わかりましたわ。お父さま」
キレーダは俺に敬礼をすると小型飛行機で日本に向かった。
さて、俺は原作通りに巨大獣を作りますか。
ガッダイン5大百科の巨大獣図鑑によると……。
――巨大獣ミラミガ――
全長51メートル 重量1270トン
全身をレイザム博士の作った超弾性金属ミラニウムで作られた巨大獣で、物理、光学どちらの武器も跳ね返す事が出来る巨大獣。
弾丸や弓矢等の武器は金属の弾性で跳ね返し、またレーザーなども表面の鏡面加工で跳ね返す。
また全身がゴムで出来ている様な弾性なので、マグネティックランサーや超電磁プロペラの攻撃も跳ね返す。
火炎にも強く、ビッグミサイルの直撃も跳ね返した。
そんな巨大獣ミラミガの唯一の弱点は冷却だった。
成すすべのなかった龍也達だったが、玄太郎が諦めずに投げ技に持ち込み、新兵器の冷凍回転巴投げで投げ飛ばして金属にヒビを入れた事で弾性が一気に無くなり、今までの反動で一気に蓄積したダメージで機体がヒビだらけになったところを新技超電磁ストームで内側にホールドされ、超電磁スマッシュで爆散した。
――何というか、とにかく攻撃という攻撃を跳ね返していたが、一度ひびが入ると途端に今までのダメージ蓄積がしっぺ返しで襲い掛かった為に一気に劣化してダメージを受けたので、この超弾性金属が未完成品だったとも言える。
ダバール星宇宙軍技術開発部主任レイザムの命を懸けた研究が水の泡になってしまったのだ。
何というか、やるせない話である。
この頃はアメリカンニューシネマ全盛期、クリエイター達にもやはりこの努力するがやはり報われない事に美学を感じる流れが伝わっていたのだろう。
世の中がベトナム戦争で疲れた時代だったので、娯楽にすらそういう悲しい事に美学を感じる層がある程度に居たのかもしれない。
――だが、わざわざ今この作品でそれを再現してやる必要もない。
その上、この超弾性金属ミラニウムは結局未完成品だったのだ。
――だったら開き直ってしまえ!
どうせ壊されるなら試しながら作ってみるのも悪くは無いか。
そう言えば新世紀のヒーローに腕や足をゴムのように伸ばすヤツが主人公の作品があったな。
まあその設定自体は米国のヒーローにあった設定で、大昔に四人組の――アメージング4――にゴム人間ってのがいたのでそれほど真新しいものでは無かったが。
そうだ、それならどうせ超弾性金属ミラニウムで作っているならこの巨大獣も腕や足が飛び出す奴にしてしまおう。
さて、どうやって魔改造するか、ミラルガは上半身が人間型、下半身がライオンみたいな形だった。
まあ下手に形は変えずに腕や足がビニョーンと伸びるようにしておこう。
そんなこんなで巨大獣ミラミガ改が完成した。
さて、キレーダは無事に日本に辿り着いたのだろうか。
俺は小型飛行機に載せておいたスパイドローンでキレーダの様子を確認する事にした。
飛行機自体は不具合が出ないだろう。
――そう思っていたのだが、事態は既に急変していた!
「何だ? 何故キレーダの小型飛行機が防衛軍に追いかけられている!?」
どう考えてもこの辺りは哨戒地域からは大きく離れているはず……まさか!
「な、何でここがわかったの!? キャアアッ!」
「国籍不明機、撃墜。防衛長官に伝達せよ」
三島の姿のアイツ……まさかアイツがキレーダの小型飛行機を落としたか!
キレーダの乗った小型飛行機は翼とエンジンに被弾しながら不時着してしまった。