第二十三話 巨大獣ミラミガ 反射攻撃の罠 5
「お父さま、わたしお父様を見直しました! いえ、見直したというより尊敬しますわ」
あーあ、俺、何かキレーダの変なスイッチ入れてしまったかもしれない。
キレーダの俺を見る目があまりにもキラキラしすぎて眩しい。
まあ元のブキミーダと違い、俺は基本善人で困っている人いたらつい助けるお人好しだからな……。
だがどちらかと言うと、今は打算で動いている方が正しいか。
後残り二十一話で処刑されない為にとにかく良い人になって信頼を重ねないといけないと思っていたくらいだ。
――だが、何か変な力が働いている様な気がするのも事実だ。
本来過労死するはずだった宇宙軍技術部のレイザム主任が食中毒で入院したおかげで今までの不摂生をきちんと改善してもらった事で命が助かったのも何だかおかしな話だ。
なんというか、あまりにもギャグ補正が強くないか??
大体死ぬはずだった奴は生き残った後大半がポンコツ化しているし、この世界が本来のガッダイン5の世界と何かずれてきているのは間違いない……。
まあポンコツ化しなかった例外はケン坊の中の三島長官だと言えるだろう。
まあ原作からしてあまりにも三島防衛長官がいるだけで空気が戦争劇画に変わるレベルの人物だったので、まあ今の彼はちょうどいい塩梅ってところか。
まあ、とにかく今のこの状況は本来の流れから考えると悪いわけでは無い。
後はシャールケンが死なないようにしつつ、エリーザ様と龍也をくっつける事で地球とダバール星人の友好関係を作る事が出来れば……まあ可能ではあるだろう。
「お父さま、エリーザ基地司令代行様がお呼びですわ」
「わ、わかった。今行く」
俺はキレーダ、バルガル将軍と共にエリーザ様の待つ謁見の間に向かった。
ミザーリンは地球防衛軍極東司令部に偵察、マーヤちゃんはいらん事言われると困るのでゲームしていていいからと留守番させている。
「よく来てくれました。これより作戦会議を始めます」
エリーザ様が司令官の椅子に座り、作戦について話し始めた。
「どうやら地球侵略で一番の障害になるのはやはりあのガッダイン5だという事です。ですのであのガッダイン5を倒さない限り、我らダバール星人による地球征服は難しいと言えるでしょう」
エリーザ様は龍也に対する思いは一旦置いて、基地司令代行として作戦について話した。
「キレーダ、お前は宇宙軍きってのエースパイロットだったわね。その腕を見込んで是非ともガッダインの基地に潜入してもらえるかしら。詳細は現地でミザーリンと合流してから聞いてもらえるかしら」
「はい、承知致しました、エリーザ様」
まあこれも原作の流れだな。
キレーダは小型飛行機で北原未来要塞ベースに向かうが、その途中で飛行機のトラブルで墜落、気を失っていた所を山に修行に来ていた玄太郎に助けられるといった流れだ。
!! そうだ! 玄太郎とキレーダ、原作では結ばれない悲劇の二人だったが、この二人をくっつける事で地球とダバール星人の戦争を止めさせる事も出来るかもしれない!!
そうなれば早速俺は巨大獣製作に向かわなければ。
原作の流れを下手に変えるとどこで不具合が生じるかわからない。
本来なら飛行機を整備してやれば不時着する事は無いが今回は玄太郎に助けてもらう為にあえて俺は手を出さないでおこう……。
――ダメだ、結果が見えているとしてもどうしてもやはりエンジニアとして欠陥品で事故が起きるのを見逃すのは俺の性分に合わない。
仕方ない、キレーダの乗る小型飛行機の整備を万全にしておこう。
それで不時着するとは思えないが、原作とどう流れが変わるかまではわからない。
だがやはりエンジニアの端くれとして俺は手を抜くわけにはいかないんだ。
そして俺は小型飛行機を万全にメンテした。