第二十二話 巨大獣ゴゴルガ デスカンダル皇帝の声 3
困った困った、このままではいくら時間があっても足りない。
マーヤちゃんはいいよね、そうやってテレビアニメ見ていればいいんだからさ。
まあ最低限のメイドの仕事をしてくれていればオレは文句を言う気は無いけど……。
さて、俺はやる事自体はてんこ盛りだが……それがきちんと意味のある事なので、それを避けるわけにはいかない。
むしろこれでそのやるべき事をやらなくては、俺が処刑される。
確かにシャールケンやバルガル将軍には信頼を得る事は出来たが、後半の敵司令官はシャールケンでは無く、――アクラデス執政官――になる。
このアクラデス執政官、弟のダンダル軍務卿と一緒に出てくる後半のガッダイン5の敵だ。
この二十二話でついにシャールケン提督の更迭が確定する。
度重なる敗北についにダバール星の皇帝デスカンダルがしびれを切らしたのだ。
視聴者はこの回で初めてダバール星の皇帝デスカンダルの姿を見る事になった。
デスカンダル皇帝は白い髭に強烈な眉毛の男で、飛び出た眉毛から子供達には眉毛ボーンという不名誉なあだ名を付けられた人物だ。
名前の元ネタはアレキサンダー大王の別名イスカンダルと死を意味するデスを合わせたものだ。
なお、アクラデス執政官の名前は哲学者ソクラテスからと思われる。
アクラデス執政官は武人タイプのバルガル将軍や全体的に武力に突出したシャールケン提督とは違い、技術者、内政担当といった感じの人物だった。
さて、ガッダイン5大百科の二十二話を思い出してみよう。
度重なるシャールケン提督の敗北にしびれを切らせた皇帝デスカンダルがついに姿を現した。
皇帝デスカンダルによる命令は、シャールケンに地球方面軍司令官から別の地域、移住可能惑星である火星探索部に回される事だった。
早い話が島流しだ。
今までに挫折という挫折を味わった事の無いシャールケンにとって、この皇帝の命令は屈辱以外の何物でもなかった。
この二十二話ではあくまでもシャールケンの更迭が決まった事が伝えられるまでで、それに対する三者、バルガル将軍、ミザーリン諜報官、そしてブキミーダ参謀長、この三人がそのシャールケンに対してどのような態度をとるか、その人間模様に合わせ、過去映像を流したいわゆる総集編というべき話だろう。
この頃は大分スケジュールも詰まっていたらしく、この辺りの話についての迷走ぶりはガッダイン5大百科や、アニメ雑誌ジ・アニメーションの制作裏話で暴露されていた。
子供の頃はそんな事を知らなかった俺は、近所の古本屋で当時のジ・アニメーションの9月特大号や増刊号を手に入れ、当時の制作裏話を知る事が出来た。
流石に全部総集編というわけにはいかず、後半は新規映像で巨大獣ゴゴルガとガッダイン5の戦闘シーンがあったが、この戦闘シーン、また海外発注なのかかなり色パカや作画崩壊の目立つ話で、左にあったはずの武器が右手に次のシーンで動いていたり、ある意味のMAD映像的な楽しみ方として今でもネットの玩具になっている話だった。
だが不幸中の幸いか、この更迭でシャールケンは火星でマルスニウムなる新金属を発見する事が出来た。
マルスニウムはシャールケンの見つけた金属で、火星で見つけられたものを、ブキミーダが開発した。
この金属を使い、シャールケンは巨大ロボット・グレートシャールケンを改造させ、その機体を手に彼は火星を脱出、地球人への雪辱を晴らす為にガッダインチームに勝負を挑むのだが、それは二十六話の話だ。
この話で初めて登場した皇帝デスカンダルの眉毛ボーン画像に合わせ、何故かネットで流行ったのが――お前達もう寝なさい――という謎のコラ画像だ。
この眉毛ボーンな皇帝デスカンダルの何とも言えない表情とそのセリフ、なぜこれがそんなに流行ったのか、出所はいまだにわからないままだ。
その後――誰だこのジジイ?――と言われるまででワンセットになっているネタで、本編の皇帝を知らない人が作った謎の画像なのだろう。