第二十二話 巨大獣ゴゴルガ デスカンダル皇帝の声 2
本来の話では鉄巨人イチナナに出てきたデビル回路、これは――エンゼルの笛の音――と呼ばれる特殊な音波によって焼き切れて壊れた。
だが今はマーヤちゃんの歌声の入った音声テープ、それがデビル回路を狂わせる結果になったようだ。
――なんだコレは!? この破壊音波はどこから出ている!? ブキミーダめ、わたしのデビル回路を無効化させる技術を持っているとは、侮りがたいやつだ……。
――いや、すみません。それ、ただの偶然なんですが。
どうやら巨大頭脳ブレイン総統は俺が意図的にデビル回路を無効化する策を取ったと勘違いしているようだ。
そこまで考えてませんって、アナタ達本来はゲストであって本編の根幹まで関わることありませんから。
だがそれはあくまでもガッダイン5本編での話であり、俺の転生してきてしまったこの世界線では下手すればまたブレイン軍団と戦う可能性は十分に考えられる。
これはクロスオーバーとかコラボと呼ばれる状態の話であり、既に本編とはかけ離れた展開になってきているのが事実だ。
だがそれは決して悪い話ではなく、むしろ良い話に方向は進んでいる。
この世界線はモブには厳しい世界だが、主要キャラは誰一人として現時点で死んでいない。
本来死ぬはずだったガッダインチームの紅一点、北原千草の母親の北原みどり博士、シャールケン提督の妹のエリーザ様や、まさかの本物の三島防衛長官が中に入ってしまったケン坊等、本来の話とはまるで違った展開になっている。
そのため今のところ地球人と、ダバール星人の間に直接的な怨恨は生まれていない。
また前の話で死ぬはずだった戦士ボボンガも俺が巨大獣に細工したので生き残っている。
だからバルガル将軍も地球人に対しての憎しみは今は無いはずだ。
むしろ彼は人質というか、捕虜のみどりさんに一目惚れしてしまい、そのおかげでバルガル将軍はみどりさんの顔を立てて地球人に苛烈な仕打ちはしていない。
まあそれも戦士ボボンガがもし死んでいたらこうはならなかっただろう。
まあ大半の流れは俺が手を加えたことで変わっているのだろう。
ここまで奮闘していれば流石に俺の四十三話での処刑フラグも折れただろう、そう思いたいものだ。
この時点で終わったのが全四十四話中二十一話だ。
大体これで話の半分が終わった形になる。
まあ昔のアニメあるあるだが、三話分再放送が本編中に入っていた。
今の時代なら総集編という形で制作が間に合わない場合は作られるが、この時代のアニメは本編制作が間に合わない場合に――リクエストにお応えして、みんなの見たかった話、第◯◯話をもう一度放送しよう!――
と、シャールケン提督の声のナレーションで言っていた話が本編中にあったはず。
まあ子供の頃だとその再放送がまさか番組が制作間に合わない苦肉の策だとは到底思うわけがない。
まあ、ビデオの高価だった頃だので、この再放送に不評は出なかったのは時代がそういう時代だったからだろう。
まあ話はズレたが、俺が色々と動いた事がバタフライエフェクトになっているのは間違い無いだろう。
だが、順風満帆に行くはずのこの俺のブキミーダ転生、まさかの本人が一番厄介な存在の三島防衛長官に転生していた。
あの性格最悪のブキミーダが本来人格者で軍人の鑑とも言われている三島防衛長官の立場を手に入れてしまうとは!
アイツ、性格は悪いが頭は良く、邪悪な発明品を今は地球防衛軍の長官の立場で本編の悪魔的兵器を作り、地球とダバール星人を決裂させようと企んでいる。
今の俺がするべき事は三島防衛長官の姿をしたブキミーダの野望を止める事、それと巨大頭脳ブレイン総統の侵攻を止める事、それとガッダイン5と戦う巨大獣を作る事だ。
マジでやる事山盛りてんこ盛りだな。