第二十一話 巨大獣ダングル バルガル将軍の怒り 6
ミザーリンの弟が出てくるのは二十九話だ。
ダバール星人の特殊部隊の出身で、感情の乏しい人物だった。
だがそれもそのはずだ。
彼女の弟はブキミーダの手下達による薬物実験の犠牲者になっていて、感情の無い殺人マシーンにされていたのだ。
本編で普段冷徹なはずのミザーリンが見せた泣き顔はアニメファンの名シーンとして残っている。
むしろ本編中ではあの溶解人間デラのメイクが無い素顔が初めて出てきたのがこの二十九話だ。
初めて彼女の素顔を見たアニメファンや当時の子供はあまりの彼女の普段の姿と素顔のギャップに驚いたくらいだ。
本編中を見ていた子供達はミザーリンの事をオニババだの妖怪だのと言っていたが、素顔の彼女を見てあまりのギャップにビックリしていたくらいだ。
まあ俺もその一人だったんだが……。
――話はずれたが、とにかく今の良い人なミザーリンなら地球側にもダバール星人側にもどちらにも好印象だといえる。
そんな彼女の働きに俺も応えないといけないと思うので、彼女の弟は俺がどうにか助け出してやろうってわけだ。
特殊部隊の隊員として現れる彼女の弟は、ダンダル部隊の一員としてこの奇岩島基地にやってくる。
その彼をどうにか助けてやる事が今後の流れにも関わる可能性があるのなら、そりゃあ助けるのが筋ってモノだろう。
まあそれは後々の話なので、今はとりあえず秩父に行ったバルガル将軍の様子を見なくては。
それに、三島長官の姿のアイツが――破滅ミサイル水爆砲――を完成させたというのも気になる話だ。
もしそんな物を巨大頭脳ブレイン総統に使った日には、秩父の硬い岩盤ですら吹っ飛び、マグマのせいで日本列島が真っ二つに割れてしまうかもしれないぞ。
それだけは何が何でも止めなくては!
「バルガル将軍殿、聞こえますか?」
「おお、ブキミーダ殿。一体どうされたかな?」
「気を付けてください、特に地球防衛軍が何をしてくるかわかりませんので」
とりあえずこれだけは伝えておかなくては。
「うむ、あのいけ好かないミシマとかいう敵の司令官のことか。武人の風上にも置けん奴だ!」
まあそれもそうでしょうね、今の三島長官の中身はアンタのとこの最低最悪な性格の超絶外道野郎のブキミーダですから。
「はい、どうやらその三島長官が破滅ミサイル水爆砲なる最悪兵器を用意したそうなのです。ですからぜひともお気をつけください」
「お心遣い感謝する。だが吾輩は軍人だ、目の前の事態を一つ一つ解決するだけの事! ガッダインが出ればガッダインを、ブレイン軍団が出るならブレイン軍団を倒すだけの事だ! それに地球防衛軍が追加されるだけの事、大して変わらん」
まあ彼は脳筋バカとまではいかないが、直情タイプのイノシシ武者そのものだからなー。
「巨大獣バルバル、出るぞ!」
巨大獣バルバルはどうにかロボット整備班が頑張って修復したので、本編の時よりは70パーセント程度には修理できている。
だがまだ本調子とは言い切れないのでむしろ巨大獣ダングルに動いてもらった方が良いだろう。
今回は本編とは違い、機動要塞ドグローンに巨大獣ダングルを載せ、巨大獣バルバルは単品で空を飛んで秩父に到着した。
「何者だ、これより先は通さんぞ!」
巨大獣ダングルと巨大獣バルバルの前に現れたのは、破壊ロボットアインアハトだった。
「どけ、鉄くずに用はない! 吾輩はブレインに用があるのだ」
「僕を鉄くずだと、更にブレイン様を呼び捨てにするとは……許さん! 勝負だ、異星人のロボット!」
あーあ、アインアハトはまだ生まれてそれほど経っていないので性格はまるで子供だ。
そのアインアハトをそんな煽り方したらそりゃあ怒るってもんだ。
そんなこんなでガッダイン5と鉄巨人イチナナ抜きでブレイン軍団対ダバール星人という戦いが始まってしまった。