第二十一話 巨大獣ダングル バルガル将軍の怒り 5
巨大獣ダングルが完成し、バルガル将軍は秩父に向かう事になった。
このダングル、俺がデビル回路とそれを解除するエンゼルの笛のメロディ発生装置を付けたので、本編とは違った仕上がりになっている。
そしてついでにマーヤちゃんの歌の入ったとんでも怪音波のテープもついでに仕込んでおいた。
マスターテープさえあればあれはいつでも使えるが、テストするにも耳栓必須ってどれだけのものなんですか、マーヤちゃん……。
録音するまでに何個のレコーダーが壊れた事やら……。
また破滅ミサイル水爆砲は作り方もわからなかったので取りつけはしなかった。
――まあ俺が説得したので地球防衛軍極東司令部に殴りこむ計画は変更になった。
しかしこの説得結構大変だったな……。
やはりバルガル将軍にとっての北原みどりさんは今はかなりの弱点みたいなものだ。
本編で彼女の娘の千草相手に顔を真っ赤にしてしどろもどろだったが、みどりさんは大人の女性の魅力を感じる才女なので、さらに弱いらしい。
まあバルガル将軍が力押しタイプなのに対し、みどりさんは頭の良い美人なのである意味正反対のキャラ、そして見た目も美女と野獣というべきか。
だから実は結構相性が良いみたいだ。
本編では第一話で瀕死に、第二話で死亡するところだったが、俺がどうにかそうならないように奮闘したので今の状態につながっている。
そして彼女の生存が地球とダバール星人の戦闘を終結させるカギになるのは間違いない。
まだ本編ではわからず、三十三話で全体的に暴露される話だが、千草がダバール星人の王子ハリールの娘で、地球人とのハーフだと判明する。
その際には本編では三島長官が理解者となり彼女がスパイでは無いと証明してくれたが、この世界線での三島長官の中身はブキミーダだ。
そうなるとむしろ千草がアイツに拷問されたりスパイ容疑で逮捕されかねない。
それまでに地球人の人質を解放し、みどりさんに地球との橋渡し役になってもらわあないと困るのだ……。
また、本編と違い死ななかったのはシャールケン提督の妹であるエリーザ様もそうだ。
彼女にはもう少し地球人、つまりはガッダインチームの龍也との接点を作らせて双方の勢力の橋渡しをしてもらわなければ。
あと数話でシャールケン提督が基地司令官を更迭される。
そうなってからの方が動きやすいと言えば動きやすい。
まああと数話、アクラデスが新司令官として到着するまでに俺は俺で下準備をしておかなくては。
今回はバルガル将軍が陣頭指揮を執るので俺は前線には出ない。
一方のミザーリンは地球防衛軍の士官として潜伏中だ。
お、俺の作った簡易式タブレットに彼女から連絡が入った。
「ブキミーダ様、ブキミーダ様、こちらミザーリンですわ。今は地球防衛軍極東司令部に居ますわ」
「ご苦労様、何かわかったのか?」
「ええ、あの三島長官。前回は重粒子ミサイルという武器を作らせていましたが、今回はブレイン軍団のウルフ博士と組んで、――破滅ミサイル水爆砲――という兵器を開発中らしいのですわ」
何だってェー!?
ここでその名前が出てくるか!! ってか、あのヤロー、マジで作りやがった。
「ご苦労様、引き続き監視と報告を頼む。前回は品川での住民に対する一斉避難指示のおかげで誰一人犠牲者が出なくて助かったよ」
「やーん、ブキミーダ様に褒めてもらえたー。わかりましたわ、わたくし頑張りますわ。……人が来たのでこれで一旦通信を終わります」
ミザーリン、マジでいい人になったな。
これは彼女の弟も俺がどうにか助けてやる必要がある。
この戦争が終わったら退役して平和に暮らしてもらいたいもんだ。
だがその為には目の前の事態を一つずつ解決しなくては。
とりあえずは秩父の戦闘の状況把握からだ。