第二十一話 巨大獣ダングル バルガル将軍の怒り 4
さて、歌い終わって満足そうなマーヤちゃん、そろそろお仕事ですよ。
俺はマーヤを連れて巨大獣制作の為にロボット格納庫にやって来た。
ミザーリンの配下のロボット制作班は巨大獣バルバルの修復作業でいっぱいいっぱいだ。
仕方ないので新規の巨大獣ダングルは俺とマーヤちゃん、それに地球人の捕虜に手伝ってもらって作る事になる。
地球人の捕虜は一応衣食住をきちんと提供しているので不平不満も言わずに巨大獣制作を手伝っている。
しかしその巨大獣が地球を攻めているのは事実だが、あまり国に対しての忠誠心はなさそうだ。
まあ戦後教育の一番ダメだった頃だから仕方ないか。
彼等にとっては地球の国が支配しようがダバール星人が支配しようが問題は無さそうだ。
――ようは生存をきちんと保証してもらえれば彼等彼女等には特に問題は無いってわけだ。
さて、それでは巨大獣制作に取り掛かりますか。
ガッダイン5大百科の巨大獣百科によると……。
――巨大獣ダングル――
全長54メートル、重量1700トン
全身が砲台で出来たような巨大獣で巨大な戦車に変形可能。
ブキミーダが遠距離攻撃を嫌がるバルガルに対する当てつけで作った巨大獣で、近距離攻撃より遠距離攻撃に特化している。
バルガル将軍の巨大獣バルバルをブレイン軍団もろとも倒そうと考え、大型ビッグキャノンからの破滅ミサイル水爆砲を撃ち出せるようにしている。
だが、巨大頭脳ブレイン総統に提供されたデビル回路によりブレイン軍団の操り人形となり、巨大獣バルバルだけを狙って攻撃。
負傷したバルバル撤退後、駆けつけたガッダイン5と鉄巨人イチナナの協力攻撃でグラビトン超電磁スマッシュを受け、爆発。
――何と言うかツッコミどころとしては、――破滅ミサイル水爆砲――のネーミングセンスだろう。
俺のいた元の時代じゃ一発アウトな名前だ。
結局はこの破滅ミサイル水爆砲は撃たれる前に巨大獣ダングルが破壊されるので。結局謎のままの兵器だった。
一説には、流石に名前がヤバすぎて被爆者団体に抗議され、名前だけで実際には使わないという落としどころで説得したという説もあったくらいだ。
まあこの時代、実際の戦争経験者に被爆者もいたので、あまりに強烈なネタは差し止めがかかったとしてもおかしくない。
まあ軍人ネタ自体は隊員の数を数えたりするネタでバリスターズが使ったり、タイムドカンシリーズのヤッテヤルマンでのフンサイオー相手の悪だくみトリオの命乞い猿芝居ネタとかでよく使われていたので、戦争ネタ自体が禁止だったわけではないんだが。
まあ俺も結局破滅ミサイル水爆砲は作り方もわからなかったしガッダイン5大百科にも詳しい内容は載っていないのでわざわざ作る必要は無いか。
そんなこんなでどうにか巨大獣ダングルが完成した。
「おお、ブキミーダ殿、完成したか」
「はい、今回は遠距離特化の巨大獣にしました」
「ほう、吾輩的にはあまりいただけないが、なぜこのような形に?」
やはりバルガル将軍は遠距離攻撃メインが好きでは無いようだ。
「巨大頭脳ブレイン総統は機械を操ると言います。下手に近寄るとこの巨大獣がブレイン軍団の手先にされかねません。そう考えると出来るだけ近づかずに遠距離特化でブレイン軍団やガッダイン5を倒した方が良いかと思いましたのです」
「なるほど、そういう理由ならいたしかたない。それでは吾輩は地球防衛軍の極東司令部に乗り込む! 吾輩の部下ボボンガを苦しめてくれた礼をせねば!」
あーあ、バルガル将軍おこだよ、まあ大激怒のブチ切れの原作よりはマシだが。
俺はどうにかバルガル将軍を説得し、地球防衛軍は今下手に手を出すとみどりさんの立ち位置が悪くなる事を伝えて彼を説得した。
みどりさんの為と言うと、バルガル将軍は不本意ながらも怒りを収め、冷静になってくれた。