第二十話 巨大獣ボボンガ 戦士の誇り 6
さて、シャールケンが降板するまでの間にきちんと信頼関係を作っておかなければ。
うまい事行けばシャールケンは【ロボットシミュレーションゲームの展開のように】生存ルートに乗せる事が出来る。
幸い彼の妹のエリーザ様も無事だ。
まあシャールケンが外出禁止命令を出したのでエリーザ様は奇岩島基地で半分引き籠りニート化しているが、今は問題ない。
龍也とエリーザを接触させるチャンスはまだ本編中でも何度か作れそうだ。
彼等が友好関係を、もっと言えば恋愛関係になれば後番組の――獣将ダイノス――のように戦争を終わらせる事も可能だ。
さて、俺は俺でシャールケンに頼まれたことを進めますか。
「オマエ、ブキミーダ。オレ、ボボンガ」
「ボボンガ?」
「オレ、バルガルサマ、メイレイウケタ。キョダイジュウ、ハヤクツクレ」
そうか、コイツがボボンガ族の戦士ボボンガか。
何というか、典型的なアフリカ系の原住民をイメージしたような姿だ。
流石に鼻に何かの動物の骨を通すスタイルは没案だけになっているが、全身の入れ墨はそのまま採用されたのでインパクトが強い。
「ボボンガ、キョダイジュウ、タタカウ。ガッダイン、タオス」
さて、それじゃあボボンガの為に巨大獣ボボンガを制作するとしますか。
ガッダイン5大百科の巨大獣百科によると……。
――巨大獣ボボンガ――
全長60メートル、重量1300トン
ダバール星の少数民族ボボンガ族の戦士を模した姿の巨大獣。
腰ミノに肩からの毛皮みたいな形の外装甲でまさに原住民の戦士といった姿をしている。
首から下げた骸骨の目からビームを撃ち、槍を投げて攻撃する。
また巨大な楕円の盾で超電磁スマッシュを防いだ初めての敵。
このままでは負けるガッダイン5だったが鉄巨人イチナナのフィンガーミサイルで助けられ、一度体勢を立て直す。
その時に巨大頭脳ブレイン総統の送り込んだ破壊ロボットアインアハトの襲撃を喰らい、そのままでは二体とも負けるところだった。
だが功を焦ったブキミーダによる重粒子ミサイルを受け、戦士の誇りを守る為にガッダイン5を楕円形のシールドで守り、大ダメージを受ける。
その後重粒子の大爆発により、辺り全てが吹き飛ぶかもしれない状況でボボンガは再度の重粒子ミサイルを受け止め、爆発する。
最後は戦士らしく散りたいと願い、龍也達ガッダインチームはその想いに応え、最後に残ったエネルギーで超電磁スマッシュを決め、中に乗ったボボンガは満足そうな顔をして巨大獣ボボンガもろとも大爆発した。
ボボンガの死に対し、バルガル将軍は涙を流して悲しんでいたが、この重粒子ミサイルがブレイン軍団によって作られたものだと誤解した彼はブキミーダの思惑通りに踊らされる事になった。
とまあ何とも後味の悪い話だ。
その後で鉄巨人イチナナとアインアハトがグラビトンブラスト対決をした事で品川の新都市開発計画地域は灰燼と化した。
このグラビトンブラスト対決、アインアハトが先に撃ち、それに対して対消滅をさせないとこの重粒子がブラックホール化して地球そのものが壊滅しかねないものだったのでイチナナが迎え撃ったモノだ。
しかし、地球環境を守る為の巨大頭脳ブレイン総統が作り出したアインアハトがまさか地球を壊滅させかねない最悪兵器を使うとは……ある意味皮肉としか言えない。
とにかく今は巨大獣ボボンガを作り、原作とは違った形でボボンガが生存できる方法を考えるだけだ。
この戦士ボボンガを死なせてしまう事は、バルガル将軍とブレイン軍団の決裂を意味する。
それを避ける為にも巨大獣ボボンガに何を持たせるべきか、俺は色々と考えた上でボボンガが生存できる装備を作り出した。
ヒントになったのは巨大頭脳ブレイン総統が送ってくれた重粒子増幅炉だ。