第二十話 巨大獣ボボンガ 戦士の誇り 4
さて困った困った。
俺は明日の夕方までに巨大頭脳ブレイン総統に返事をしなくてはいけなくなってしまった。
――追伸、なお……わたしに協力してもらえるならば、キミのロボット制作に非常に参考になるであろうアインアハトの重粒子増幅炉の設計図を提供する準備も出来ている――
何だって!?
重粒子増幅炉は、鉄巨人イチナナとアインアハトに内蔵されている重粒子を増幅してエネルギーにするシステムだ。
イチナナとアインアハトはこの重粒子増幅炉を使う事で重力を断ち切ったフライトモードになる事が可能なのだ。
だが、この重粒子増幅炉には欠点があり、一度必殺技のグラビトンブラストを使うと、イチナナは十七時間、アインアハトは十八時間の待機時間が必要になってしまう。
本編ではこの一時間差を利用してイチナナは重粒子増幅炉の再起動のタイミングをずらす事でアインアハトを撃破した。
それくらいこの重粒子増幅炉は取り扱いが難しいシステムだ。
強力なエネルギーを生み出し、それを武器にする力、だがその再起動には丸一日近い時間を必要とする。
この重粒子増幅炉、それほどに制御が難しいシステムだと言える。
だが俺にはそれを制御するシステムの構築方法がある。
しかしそれを実現するには実際の重粒子増幅炉の設計図が無いと、どこに欠陥があるのかが見えないので、巨大頭脳ブレイン総統の申し出は本来ならとてもありがたい。
実際その重粒子増幅炉の問題さえ片付けば、俺の制作するロボット――ラゲンツォ(仮)――のエネルギー問題が解決するからだ。
ブラックホールエネルギーで動くロボットと厨二病だった時の俺が考えた設定だったが、実際の重粒子増幅炉があれば実際にその疑似ブラックホールエネルギーを確保する事が出来る。
そうなるとラゲンツォ(仮)の最強兵器のディメンジョンブラストも机上の空論では無く、実際に作成可能という事だ。
そう考えると巨大頭脳ブレイン総統の申し出は受けるべきところと言えるのだろうが、ここは一旦他の連中にも話をする必要がありそうだ。
なお、原作でのブキミーダは他のバルガル将軍やミザーリンを出し抜くために周りに相談をせず、そのまま即答で巨大頭脳ブレイン総統に二つ返事で返答をし、重粒子ミサイルの設計図を譲ってもらっていた。
恩知らずのアイツはその重粒子ミサイルを使い、イチナナもろともアインアハトやガッダイン5だけではなく、嫌いなバルガル将軍の部下のボボンガまでも吹き飛ばそうとしていた。
その事に流石の巨大頭脳ブレイン総統も激怒し、その報復は二十一話でブキミーダに襲い掛かる事になるのだが、それはまた次の話なので今は考えないでおこう。
今の俺の立場なら巨大頭脳ブレイン総統を怒らせることは無さそうだが、反対に三島防衛長官の中のアイツが何をやらかすのかが不安だ……。
アイツが本当に本編終了後のブキミーダなら、重粒子ミサイルを作る事は可能だ。
それも今のアイツの立場なら防衛長官として地球防衛軍に重粒子ミサイルを作らせ、イチナナ、アインアハト、ガッダイン5、それに巨大獣ボボンガまで全部巻き込んで攻撃して来てもおかしくはない。
そうなると俺からも巨大頭脳ブレイン総統にこの事を伝える必要がありそうだ。
さて、とりあえずの今後の計画は……まず、シャールケン提督、バルガル将軍、ミザーリン達に俺に対して巨大頭脳ブレイン総統からコンタクトがあった件を伝える事、そして三島防衛長官の姿のアイツが重粒子ミサイルを使って何をやらかすかわからないので、重粒子キャンセラーを重粒子増幅炉を元に完成させる事だ。
そこで――ごきげん! こどもショー――を見ているマーヤちゃん。
――行け! グッドマン――を見てる場合じゃないよ、そろそろお仕事ですよ。