第二十話 巨大獣ボボンガ 戦士の誇り 3
俺はとにかく巨大頭脳ブレイン総統に返信することにした。
――親愛なるマスタ・ブレイン。申し出は大変ありがたい。だが、俺の一存でこの話を決めるわけにはいかないので、少し検討させてもらいたい――。
オレがそう入力すると、すぐにブレイン総統から返事が来た。
――ミスター・ブキミーダくん。了承した。キミの良い返事を待っている。時間は出来るだけ早い方がいい、そう……せめて明日の夕方までには返答を頼む。良い返事を待っている――
とりあえずはどうにか巨大頭脳ブレイン総統がすぐに動き出す事は無さそうだ。
――とにかくガッダイン5大百科の二十話を思い出してみよう……。
この話、巨大獣ボボンガと破壊ロボットアインアハトが出てきた話だ。
アインアハトは、ヘミングウェイ教授の息子であるウルフ・ヘミングウェイに盗み出された設計図を基に巨大頭脳ブレイン総統が完成させた最強の破壊ロボットだ。
また、巨大獣ボボンガは、ダバール星の少数民族、ボボンガ族の姿を元にした巨大獣で、
パイロットはバルガル将軍の部下だった戦士ボボンガだ。
巨大獣ボボンガと破壊ロボットアインアハトは品川に出現し、新都市開発計画地を襲撃した。
そこに現れたのがガッダイン5と鉄巨人イチナナだった。
アインアハトと鉄巨人イチナナは同じ設計図、重粒子動力炉システムを持つ兄弟ロボだ。
自我を持つアインアハトは巨大頭脳ブレイン総統の命令こそが正しい、人類は地球のバグで消し去るしかないと言ってイチナナと戦った。
一方戦士ボボンガが乗った巨大獣ボボンガはガッダイン5と戦士の誇りをかけて戦った。
イチナナとガッダイン5はそれぞれが協力し、アインアハトとガッダイン5、ボボンガとイチナナが戦うが、なかなか決着はつかなかった。
そんな中、双方の共倒れを狙ったブキミーダが設計図を基に作った重粒子ミサイルをドグローンから放った。
いきなりの外部からの攻撃に誇りを傷つけられたと怒った巨大獣ボボンガは手に持った槍で重粒子ミサイルを切り捨てたが、漏れた重粒子の影響で機体に大きな負担を受けてしまった。
ガッダイン5は不本意ながらも弱った巨大獣ボボンガを超電磁スマッシュで倒し、鉄巨人イチナナはアインアハトとグラビトンブラスト対決をした。
イチナナとアインアハトのグラビトンブラストはお互いがぶつかり合い、最終的には対消滅を起こした。
この事でお互いが大打撃を受けてしまったイチナナとアインアハトはそれぞれが撤退し、品川開発地は更地の荒野になってしまった。
といった話だった。
ここでイチナナとアインアハトがお互い大ダメージを受けたという事で、この話では痛み分けだったわけだ。
このイチナナとアインアハトの対決は二十一話でも再び起きる。
だが二十話ではあくまでも共闘と顔見せといった感じだったので、イチナナとアインアハトが本格的に戦うのは二十一話及び、鉄巨人イチナナの本編の話だ。
この話の際に登場するのが本来のフジ子・ヘミングウェイやブルーマフラー隊や剣崎隊長であり、海水浴話で先に彼等が登場したのはあくまでも今の時系列だったからの話だ。
この話ではブルーマフラー隊と三島防衛長官による軍事特訓シーンもあったが、これが今見るとかなり突っ込んだ内容で、マジモノの自衛隊に監修してもらったらしく今見ても見ごたえのあるシーンだった。
この話、後のリアル系ロボアニメの金字塔、装甲鉄機メタルズの高畑修輔が脚本をやっているだけに、ミリタリー描写が半端ない。
糧食を用意するシーンや、軍の故障して使えなくなった車両の牽引、銃を構えて弾込めをするシーン等、後の装甲鉄機メタルズや太陽の戦士ザグザムで見られた泥臭い演出が色々とみられる。
とにかくこの二十話は全体的に異色な話と言える出来だった。