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第十九話 巨大獣ゾンゾン 暗闇からの暗殺者 6

 玄太郎の母、巴は柔道の練習の最中に足を捻挫してしまい、北原未来要塞ベースの医療室に運ばれた。


「巴さん、申し訳ない。ワイのせいでこんなことになって」

「なに、気にする事はなかばい。この程度、現役の時にゃ日常茶飯事だったばい。それよりアンタ強かとね。あの動き、柔術じゃね。どこで覚えた?」


 まあ三島長官は昔からの武家の家系で、古武術に関してはどれも達人クラスだ。

 剣道、弓道、槍術、柔術、馬術、どれも彼が若い頃にマスターしたらしい。

 だから彼はダバール星人の兵士の集団に囲まれても一人で返り討ちに出来たのだ。


「俺も知りたいものだな、ケン坊。お前のその動き、明らかに素人のものでは無かった。まるで、三島長官のような動きだったな」


 剣崎隊長はケン坊があまりにも子供離れした能力を持っているので興味を持ったようだ。

 だが流石にケン坊の中身が本物の三島防衛長官だとは気が付いていないらしい。


「剣崎隊長、ワイが三島長官みたいだと言うんですか」

「隊長はよせ、お前はこの間の騒動で防衛隊見習いを除隊になっている。お前がここにいるのはあくまでも年の離れた知人の知り合いという事だ」


 確かに、前回の三島防衛長官の姿をしたアイツの命令で防衛軍は北原未来要塞ベースを占拠した。

 その防衛隊員を何人も病院送りにしたケン坊がそのまま防衛軍の隊員の立場では、今後動きにくくなる。

 それを見込んだ上で剣崎隊長はケン坊を隊員から除隊したのだ。


「剣崎さん、その節は申し訳ありませんでした!」

「いや、お前は立派な事をしたよ。お前がいなければガッダインチームを助け出して巨大獣を倒す事が出来なかった。そうそう、青木大尉にもよろしく伝えておいてくれ」


 剣崎隊長はあの騒動に関していい感情を持っていなかったようだ。

 だから自分達は動けないがその代わりに動いてくれたケン坊(三島長官)や青木大尉ミザーリンに心から感謝している。


「ワイのこれは、知り合いの爺さんに教えてもらいました。どうやら古武術とか柔術って言われているものらしいです」

「アンタ、その爺さんにオラを会わせてくれんか! その柔術、オラも知りたい」

「残念ですが、その方は数年前に亡くなってしまいました」

「そうか、残念ばい。もしその人がおったら玄太郎の良い師匠になれたかもしれんのに」


 巴は残念そうな顔をしていた。

 それを見たケン坊が彼女に語りかけた。


「もし、ワイでよければ玄太郎さんの相手になりましょうか?」

「坊や、本当か。ワシの代わりをやってくれるんかい」


 巴はケン坊(三島長官)に玄太郎の特訓に付き合ってくれるように頼み、自らは松葉杖で玄太郎の稽古を後ろから見守った。


「ぐへぁ!」

「これが地獄車、相手を巻き込みながら投げ飛ばす」

「ケン坊どん、もっと。もっと頼むでごわす!」


 ケン坊と玄太郎の特訓は続いた。

 玄太郎は目隠しをしたままケン坊と戦い、古武術の動きを学んでいった。


 そして二日後の雨の日、ついに玄太郎は地獄車をケン坊に極める事が出来た。


「行くばい! これぞ必殺、地獄車じゃああい!」

「ぐはああああっ!」


 流石のケン坊の身体でも、このガッチリ決まった地獄車からは逃れられない。

 ケン坊の姿の三島長官が畳を叩いた。


「ま、まいりましたっ」

「玄太郎、ついにやったばい。オラ、今のアンタの姿をとーちゃんに見せてあげたかったよ」


 木陰に隠れて玄太郎の特訓を見ていた巴が、うれし涙を流しながら喜んでいた。


 次の日、疲れ果てた玄太郎は泥のように寝てしまい、特訓を休んでしまった。

 だが巴はそんな玄太郎を叱る事も無く、彼の部屋に新しく繕った柔道着を置いた。


 捻挫が落ち着き、松葉杖の必要無くなった巴は九州に帰るとみんなに告げた。

 だが、その時……箱根に巨大獣出現の情報が入り、北原未来要塞ベースに警報が鳴り響いた!

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