第十八話 巨大獣アビンガー ブキミーダの暗躍 10
「何だあのロボットは!? だがどうやら吾輩達の敵ではなさそうだな」
俺は機動要塞ドグローンのテレビ電話に接続し、バルガル将軍と話をした。
「バルガル将軍、バルガル将軍殿、聞こえますかな?」
「おお、これはブキミーダ殿、一体どうなされた?」
「あのロボットの事でお話が、あれはワシらの敵ではありませんぞ」
外での話し方はあくまでも原作のブキミーダに合わせておかないと不自然なので俺はわざと仰々しく話をしている。
「敵では無い、ではあのロボットは一体何者なのだ?」
「あれは恐らく、あの地球のロボット鉄巨人イチナナの敵軍団、ブレイン軍団の破壊ロボットかと、あれはハリケーンマシン。イチナナの敵ですわい」
「イチナナ、あのガッダイン以外の地球のロボットはイチナナというのか! それであの敵対しているロボットはそのイチナナの敵、つまり吾輩達には味方になるという事だな」
――敵の敵は味方、まあそう考えればそうなるか。
「そうです、ですから巨大獣アビンガーにはあの巨大ロボには手を出さないように言わないと、反撃プログラムでこちらも敵と認識されてしまいますわい」
「わかった。巨大獣アビンガーよ、あのロボットには手を出すな! イチナナだけを狙え!」
「ガゴオオオン!」
アビンガーはソーサーシールドを二つ重ねてイチナナに投げた。
ゴシカァン!
激しい音が鳴り響き、イチナナの巨体がよろめいた。
「イチナナ、イチナナ! 応答して!」
「……ラー……ジャァー……」
イチナナの目が青く光る。
鉄巨人イチナナはフジ子の声に反応し、イエスなら目を青く、ノーなら目を赤く光らせる事で応対する。
今は目が青い、どうやら戦闘には問題がないようだ。
イチナナがハリケーンマシンとアビンガー、両方を相手に奮戦していると、そこに防衛軍の輸送機が見えた。
どうやらミザーリンが到着したようだ。
「さあ、みんな。ダインマシンに急いで!」
「ありがとよ、渚さん!」
「姉さん、ありがとう……」
「助かりましたっ」
ガッダインチームは負傷した防衛軍の隊員達をダインマシンから降ろし、全員が乗り込んだ。
負傷した隊員はミザーリンが輸送機に乗せ、彼女は病院を目指して再び飛び去った。
「後は頼んだわよ!」
ダインマシンに乗りこんだ龍也達は、機体を起こし、どうにか移動できる状態に戻った。
「くっそー! 我慢させられてた分、大暴れしてやる! 覚悟しろ巨大獣」
「龍也さん! 巨大獣以外にも何かいます!」
「あれは、見たことの無いロボットですたい」
ガッダインチームの全員がハリケーンマシンを見てビックリしていた。
「どうせ新しい巨大獣だろ、だったら一気に合体してやっつけてやればいいんだ! みんな、行くぞ!」
「「「「「レッツ! ガッダイィィーン!」」」」」
合体完了したガッダイン5と鉄巨人イチナナは、ハリケーンマシンと巨大獣アビンガーを相手に戦闘を開始した。
「イチナナ、巨大獣はガッダイン5に任せてキミはハリケーンマシンを倒すんだ!」
「ラー……ジャー」
イチナナの目が青く光った。
ハリケーンマシン目掛け、イチナナのパンチが炸裂する。
その後イチナナはハリケーンマシンを掴み、地面に叩きつけた。
ハリケーンマシンの巨大ファンはへしゃげてしまい、風を起こせなくなっている。
「いけ、イチナナ。その扇風機をもぎ取ってしまうんだ!」
「ラァー……ジャー……」
羽をもぎ取られたハリケーンマシンにはもう打つ手は無かった。
「行け! イチナナ。必殺、グラビトンブラストだ!」
イチナナの目が青く光り、その後激しく赤く点滅した。
これがグラビトンブラストの準備だ。
イチナナの1と7の書かれた胸パーツが左右に開いた。
すると中にあった重力炉から、黒い球体が撃ち出され、それはどんどん巨大化した。
「ま、まさかアレは! 吾輩のバルバルに撃たれた武器か!?」
「グラービトン・ブラァースト……」
シュゴォオオオンッ!
グラビトンブラストを受けたハリケーンマシンは、内側にどんどん縮まり、そして機体の限界点に達した時大爆発を起こした。
「よっし、こっちも負けてられないぜ! 行くぞ、超電磁……ウェーブ!」
ガッダイン5の超電磁ウェーブが巨大獣アビンガーを捕らえた。
ウェーブの余波はアビンガーのソーサーシールドを跳ね返し、ソーサーシールドがアビンガーの身体に直撃した。
「超電磁! スマァアーシュッ!」
「アビィンガァアアアー!」
超電磁スマッシュを受けた巨大獣アビンガーは横浜上空で大爆発を起こした。