第十八話 巨大獣アビンガー ブキミーダの暗躍 8
「ブキミーダ様、これは一体?」
「これは……まあ俺が作った簡易式のカメラと通信機が一緒になった電子板ってところかな」
「凄いですわ! 流石は天才科学者!」
まあこのシステム自体は昔からやっている仕事のロボットの基盤づくりの延長線上にある技術なのでそれほど難しいものでは無かった。
それにこのダバール星人の超科学力は、今でいう3Dプリンターの技術を実体出力機として75年現在の世界で実現してしまっているので、ロボのパーツからタブレットまで何でも作ろうと思えば作れてしまうのだ。
実はマーヤちゃんの足パーツもこの実体出力機で作り出したものだ。
「まあそれほどでも無いけどな。この通信機、その三島長官に一つ渡しておいてもらえないか? 俺は俺用のものがあるので、これで三人分確保出来ていることになる。詳しい使い方は後で伝えるから」
「わかりましたわ、それではわたくしは日本に向かいます」
そう言うとミザーリンは日本に向けて小型艇で発進した。
バルガル将軍の機動要塞ドグローンの移動ルートとは別ルートを通っているので気付かれる事は無いだろう。
そして俺の昆虫型スパイドローンは機動要塞ドグローンにも潜入させているので、バルガル将軍の動きも見ようと思えば見れるのだ。
どうやらバルガル将軍が日本の東京湾に到着したらしい。
「行け、巨大獣アビンガー!」
「グゴォオオンッ!」
巨大獣が横浜に出現し、少し経ってから防衛軍の隊員達が乗ったダインマシンが到着した。
「こちら草津、敵を発見、攻撃します!」
だが、ガッダイン5に合体する前のダインマシンの攻撃は巨大獣アビンガーにはまるで通用しなかった。
「なんだ、このショボい攻撃は。吾輩を舐めておるのか! アビンガー、蹴散らしてしまえ!」
ダインジェットがアビンガーのソーサーシールドに弾き飛ばされた。
「大丈夫か! 草津」
「ここは合体した方が良さそうだ、行くぞ!」
「「「「「レッツ、ガッダイン!!」」」」」
防衛隊が頑張ってどうにかガッダイン5に合体しようとしているが、どうやらまた上手く行かないようだ。
防衛隊員のガッダイン5はどうにか合体には成功したが、まるで動きに機敏さが見られなかった。
「何だ、あのへっぴり腰は。アビンガー、一気に畳みかけろ!」
「ウガァアアアオン!」
巨大獣アビンガーの前に、防衛隊はまるで手も足も出なかった。
そして、ガッダイン5は再びバラバラになってしまい、ダインマシンはその場で動けなくなっていた。
「何だ、この張り合いの無さは。これが吾輩達を苦しめた地球のロボットだというのか……もういい、アビンガー、コイツらを踏みつぶしてしまえ!」
巨大獣アビンガーがダインマシンを踏みつぶそうとした時……! 遠方から謎の巨大物体が迫ってきた。
「何だ! あの飛行機は!?」
「変形、イチナナフライトモードからバトルフォーメーションへ!」
「……ラージャー……」
おお、あれこそは、鉄巨人イチナナ!
ガッダイン5のピンチに駆けつけたのは、フジ子ヘミングウェイの操る鉄巨人イチナナだった。
「アレは……以前敵基地に出現した巨大ロボットか! 面白い、相手に不足は無さそうだ!」
巨大獣アビンガーと鉄巨人イチナナががっつりと向き合い、戦闘を開始した。
一方その頃、北原未来要塞ベースに侵入したミザーリンは、ケン坊に会ってタブレットを手渡した。
「これでお互い連絡が取れるわ、わたくしはすぐに輸送機でガッダインチームを運べるようにするので、貴方は軟禁されているガッダインチームを助け出して頂戴」
「わかった、この通信機……ありがたく使わせてもらうぞ。救出作戦はワシに任せろ!」
ガッダインチームの救出作戦に関しては三島防衛長官に任せれば確実に成功するだろう。
後は鉄巨人イチナナが巨大獣アビンガーとどれだけ善戦するか、それにかかっている。