第十七話 巨大獣ゾゲルル シャールケンの怒り! 10
子供の頃、俺は本放送で物語の前半でガッダイン5が巨大獣を倒してしまい、今日の話はこれで終わりかと思ってしまった。
だが、コマーシャル明けのBパートでは、一方の北原未来要塞ベースに機動要塞ドグローンで侵攻してきたシャールケン提督とその部下達による第二次要塞侵攻作戦が進められていた。
第一次要塞侵攻作戦は、十話で出てきたバルガル将軍が攻めてきた話だ。
第二次要塞侵攻作戦は、シャールケン自らが北原未来要塞ベースに侵入してくる。
この際にシャールケンと戦ったのが自ら輸送機で駆けつけた三島防衛長官だった。
だが、今の流れでは三島防衛長官の中身はブキミーダなので応援に駆け付けるわけが無い。
さて、この話の展開……どう転がるのやら。
俺はマーヤちゃんと一緒に、巨大獣ゾゲルルのまだ使えそうな燃え残ったパーツを拾い集め、奇岩島基地に帰還した。
さて、スパイドローンで北原未来要塞ベースの様子を見てみるとするか。
マーヤちゃん、今はテレビよりこっちの方を見てちょうだい。
俺が様子を見ると、丁度バルガル将軍とシャールケン提督が北原未来要塞ベースに機動要塞ドグローンで到着したところだった。
ダバール星人が武器を持って北原未来要塞ベースに侵入、今回は三島防衛長官による救援も無い……この状態、もう詰み確定か。
だが! その時、本編とは異なった救援が現れた。
「おらおらおらー! ここを通りたければこのガンテツ様をたおしていけやー! ダバールがなんぼのもんじゃー!」
「全員、怯むな! ブルーマフラー隊の力、見せてやれ!」
なんと、北原未来要塞ベースには先日の強化合宿で海岸にいたブルーマフラー隊が駆けつけたのだ!
「イチナナ、敵を倒して!」
「――ラージャー……」
イチナナの手がダバール星人を弾き飛ばす。
「な、何だあのロボットは!? 地球にはガッダイン以外にもあんなロボットが存在するというのか!」
バルガル将軍はいきなりのイチナナの登場に驚いているようだ。
一方、基地の中に入り込んだシャールケン提督は目の前の少年に道を塞がれていた。
アレは、ケン坊の姿の三島長官だ!
「お前が敵の親玉か! ワシが相手だ!」
「何だ、子供だと? 退け、子供の相手をしている場合ではない」
「シャールケン様! その小僧、子供と侮ってはいけません!」
「何だと!? キサマは余を愚弄するか? 余が子供に負けるとでも思っておるのか!」
まあシャールケン提督の怒りももっともだ。
だが、ケン坊の姿の三島長官は愛用の鉄モップを持ってシャールケンを睨みつけている。
「ほう、小僧……良い目だ、だが余は子供だからと手を抜きはせぬ、命がけでかかってこい!」
シャールケン提督は剣を抜き、ケン坊の姿の三島長官と向かい合った。
「三島流槍術の奥義、見せてやろう」
「来い、小僧!」
シャールケン提督とケン坊の姿の三島長官の戦いは長きに渡り続いた。
お互いが一進一退の攻防、鉄モップで剣を受け止めるケン坊の三島長官とシャールケン、その戦いの決着がついたのは、ほんの一瞬の差だった。
「うゎっ! これは槍じゃなくてモップだった!」
三島長官のケン坊はモップの端を踏んでバランスを崩してしまった。
「もらったぁ! 小僧、お前の戦いぶり、見事だったぞ!」
ガイィイイン!
「だ、誰だキサマ!?」
「ウチの大事な隊員を好きにはさせんぞ!」
これは、剣崎隊長!
剣崎隊長は銃剣でシャールケンの剣を受け止め、ケン坊の命を救った。
「お前がダバール星人のリーダーだな。俺は剣崎均中佐だ」
「ケンザキ……タモツ。その名前、覚えたぞ!」
バルガル将軍がシャールケンの後ろから現れた。
「シャールケン様、伏兵です。あの巨大ロボットのせいで我が勢力は壊滅です……!」
「くっ、仕方ない、引き上げだ!」
こうしてシャールケンによる北原未来要塞ベース侵攻作戦は失敗に終わった。